【作品情報】
作品名:風の万里 黎明の空 上・下
著者:小野不由美
ページ数:上巻:368、下巻:400
ジャンル:ファンタジー
出版社:新潮社
おススメ度 : ★★★★★★★★★☆
陽子に抱かれたい度 : ★★★★★★★★★☆
こういう人におススメ! : 少女達が成長する、心踊るファンタジーが好き
慶国の玉座についたが、王としての役割を果たせず、信頼を得られていないことに苦悩する陽子。
十二国の理も、法律も、知識も何もかも足りない陽子は、半ば部下のいうことをそのまま鵜呑みにするしかない。
苦しむ陽子はやがて一つの決断をする。
慶国と離れた芳国では、父である国王が簒奪者に殺された祥瓊は平穏で恵まれた暮らしを失い、失意の日々を過ごしていた。
また鈴は、蓬莱から辿り着いた才国で苦行を強いられ、涙を流す。
三人の苦難を背負う少女達が悩み、苦しみ、それでも一歩を踏み出していく。
「月の影~」のラストで正式に慶国の玉座についた陽子。
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【ブックレビュー】月の影 影の海 上・下(著:小野不由美)
【作品情報】 作品名:月の影 影の海 上・下 著者:小野不由美 ページ数:上巻:278、下巻:267 ジャンル:ファンタジー 出版社:新潮社 おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆ とりあ ...
おとぎ話であれば、「めでたしめでたし」で終わったかもしれない。
でも現実は違う。
王となったからやりたい放題、誰もが平等で幸せな国を作って、なんて出来るはずもない。
国があれば政府があり、様々な部署があり、派閥がある。
国には国の法律や決まり事、過去からの慣習がある。
ついこの間まで女子高校生だった陽子が、異なる国に来て、出来ることなどないのだ。
それでも王としての責務を求められる。信頼はされない。言われるがままにするしかない。
ファンタジーと言いながら、なんとも苦しい。
天才的な主人公が、生まれ持った才覚で部下の人心を掌握して改革を断行していく、なんて展開にはならず実に現実的。
陽子だけではない。
王の子として不自由なく暮らし、恵まれていた祥瓊。
簒奪者に王位を奪われ、王族としての地位を失い、苦難に陥る。今まで苦労知らずの祥瓊が初めて見た光景は。
陽子と同様に蓬莱から才国に来てしまった鈴は、自分の立場をただ卑下して泣く日々を過ごす。
序盤は苦難を背負った少女達のそれぞれの葛藤が描かれる。
立場の違う彼女たちだが、自分の殻に閉じこもり、知ろうとしないことで苦しむことは同じ。
そこからいかに目を開き、物事を受け入れ、知らないことは知らないと認めたうえで知ろうと行動するか。
気付き、立ち上がる姿が眩しい。
特に陽子の変わりようは凄まじい。
物語の途中、後半からは、なんという男前っぷりを発揮してくれることか。
シリーズ一作目でめそめそ、いじいじしていた陽子はもうここにはいません。
あまりの格好良さに、抱かれたい主上No.1の座になりました。
そして楽俊がまたしても良い味を出してくれています。
彼がいなければ、陽子も祥瓊も変わることはなかったかもしれない、それくらい重要な役割を果たしてくれている。
政治面も見せてくれつつ、少女達が成長し、冒険し、ワクワクするようなファンタジーにもなっているのもまた素晴らしい。
読んで、爽快にもなれるのだ。
物語の最後、陽子の演説もまた良かった。
初勅がまた、この物語で成長し、何かを得た陽子らしい。
シリーズの中でも最も好きな一作。
陽子に惚れろ。
ないですよ!
陽子、素敵!
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