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ミステリー 書評

【ブックレビュー】愚者の毒(著:宇佐美まこと)

更新日:

【作品情報】
 作品名:愚者の毒
 著者:宇佐美 まこと
 ページ数:400
 ジャンル:ミステリー
 出版社:祥伝社

 おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
 途上人物たちのやるせない度 : ★★★★★★★★☆☆
 こういう人におススメ! : 深く重い物語を読んでみたい

■作品について

一九八五年、上野の職安で出会った葉子と希美。
互いに後ろ暗い過去を秘めながら、友情を深めてゆく。
しかし、希美の紹介で葉子が家政婦として働き出した旧家の主の不審死をきっかけに、過去の因縁が二人に襲いかかる。
全ての始まりは一九六五年、筑豊の廃坑集落で仕組まれた、陰惨な殺しだった…。
絶望が招いた罪と転落。
そしてその、結末。

■良かった点

貧困を物語の核にすえた物語。
時は1960年代、筑豊の廃校集落からすべてが始まる。
三池炭鉱で発生した戦後最大の粉塵事故と、その犠牲者達。
亡くなった者は当然だが、一酸化炭素中毒になりその後遺症に苦しむ被害者と家族はさらに酷い状況になる。
後遺症で働けなくなった者を、家族は養わなければならない。
たいした補償も出ず、放置されるような状況で、人は絶望に陥っていく。
そんな状況が全ての始まりとなり、現代につながっていく。

現代でももちろん、貧困はある。
過去と現在を行き来しながら、物語は絡み合うようにして進んでいく。
葉子と希美。
そして、ユキオ。
ただ、貧しさから、脱したかった。
大きな幸せを望んだわけではない。
友人がいて、心を落ち着けるときがあって、体を癒せる場所がある。
望んでいたのはそんな儚い幸せだったのに、過去はどこまで追いかけてくる。

ミステリ―としたが、実際にはそこが主ではない。
サスペンスであり、ドラマである。
タイトル、「愚者の毒」が意味するもの。
人の愚かさ、人の中に染み込んだ毒、そういったものを描いた一作。
重々しいテーマでありながら、一気に最後まで読ませられる。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

なんというか。
救いがない。
それでも、物語の終わりは静か。

 

 

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