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エンタメ 書評

【ブックレビュー】ミモザの告白2(著:八目迷)

更新日:

【作品情報】
 作品名:ミモザの告白2
 著者:八目迷
 ページ数:310
 ジャンル:エンタメ
 出版社:小学館

 おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
 重いけれど青春でもある度 : ★★★★★★★★☆☆
 こういう人におススメ! : ジェンダー問題を真剣に扱ったラノベを読みたい

■作品について

変わりゆく三角関係。いま舞台の幕が上がる

衝撃的な一学期が終わり、咲馬たちは夏休みに突入する。
いつもと少し違う、だけど何気ない日常の最中に、ふと頭をよぎる『あの出来事』。
ちゃんと向き合わなければならない、そう思う咲馬だが、今は目を逸らすことしかできなかった。

そんな夏休みのある日。咲馬は、汐と夏希の三人で水族館へ行くことになる。
三人は暗黙の了解のように『あの出来事』には触れず、楽しい時間を過ごす。
だがなんでもないように振る舞っていても、過去はなかったことにはならない。

「二人は、付き合ってるんだよね?」

夏休みが終われば、その先には文化祭が待ち受ける。三人はそれぞれの想いを胸に、文化祭の準備を始める。実行委員の仕事、そしてロミオとジュリエット。
行き違い続けた感情が交わるとき、舞台の幕が上がる。

■良かった点

2巻です。
1巻の引きをうけての2巻、当然ながらぎこちない状況から始まります。
そんな中でも、咲馬、汐、夏希の三人は、事実に向き合わないといけない。
自分たちの進む方向を自分たちで決めないといけない。

前半は、水族館。
後半は、文化祭。

それぞれの場で、互いに傷つけ合い、傷つきながら、それでも自分たちの関係を見つめ、築こうとしていく。
触れないでいれば傷つかないかもしれないけれど、かわりに何もなく時間だけが過ぎていく。
三人は、それを選ばなかった。
傷ついてでも、何か進んでいこうと考える。
正解なんて分からない中で、本当に一歩進んでは痛みに顔をしかめ、一歩進んでは相手を傷つけ。
2巻になって、より、内容も重くどろっとしてきましたよ。

もちろん、世界は三人だけで構築されているわけではなく、クラスメイトや学校の他の生徒、家族など、関係性は変わっていく。
高校生です。
大人になれば、そういったことを受け入れられるかもしれないけれど、そう簡単にはいかない。
好意を寄せていたり、それまで汐と男として仲良くしていたり、思いが強ければ強いほど簡単には切り替えるなんてできない。
もうね、嫌なんだけど、そういう言動に出てしまうのも分かるような気もして。

汐に反発を覚える生徒だけではない。
咲馬の苦悩とかも。
特に後半で咲馬自身が気が付く、咲馬自身の傲慢とも思える想い。
それはきっと、誰にでもある思いで、読んでいる方の胸にも刺さる。
多くの人は、自分の方が上というか、自分より下を見て安堵する生き物だから。
自分より弱い立場の人がいて、自分を頼ってくれていると思うと安堵する生き物だから。

単純に、誰かと誰かが付き合えば決着する物語ではないだけに、この先どうなるかが楽しみ。
更に重い展開になるかもだけど、楽しみなんだよな。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

仕方ないけれど。
嫌なキャラクターは、嫌なやつですね(笑)

 

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