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ミステリー 書評

【ブックレビュー】ネメシスの使者(著:中山七里)

更新日:

【作品情報】
 作品名:ネメシスの使者
 著者:中山 七里
 ページ数:338
 ジャンル:ミステリー
 出版社: 文藝春秋

 おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 作品を読んで考えさせられる度 : ★★★★★★★★☆☆
 こういう人におススメ! : 死刑制度を考えたい

 

■作品について

残虐な犯罪を犯しながら死刑とならず、刑務所の中で壁に護られている犯罪者。
そんな犯罪者の家族が殺され、現場には「ネメシス」という文字が描かれていた。
復讐なのか、それとも犯罪者にふさわしい刑を与えない日本の司法に対するテロなのか。
そしてネメシスの本当の目的とは?

■良かった点

犯人・ネメシスは誰なのだろうと思っていたが、「ああ、そいつだったのか!」ということで思い至らなかった。
ただ、犯人の本当の思いというか狙いというかは、思い至っていて、合っていた。

というのは置いておいて、これまた色々と考えさせられるテーマではある。
犯罪者、加害者は手厚く保護されるが、被害者の家族は何もされない。
しかも殺人を犯した加害者がのうのうと生きているとなれば、被害者家族の無念さはいかほどのものか想像もつかない。
本作はミステリーというよりも、加害者家族、被害者家族について。
そして死刑について考えさせる物語であり、渡瀬刑事がそれら関係者の間を歩いて話を聞き、それらの倫理観についてを語った物語だと思えた。
何が正しいというのもないのだろうが、犯罪、とくに殺人というのは関係者のだれもが救われず、しかもその後長期に渡って引きずるのだと改めて思わされる。

作品では渡瀬刑事に検事の岬というのがなかなか(作品のリンクですね)。他にも解剖の法医学の先生とか匂わせるし。
中山作品を読んでいれば、そういった点でも楽しめる。
司法手続きや、刑事と検事の関係、私は詳しくないが色々とツッコミどころがあるようだ。
だけどまあ、あくまでエンタメ作品として楽しめば良いかと思う。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

最後は読めてしまうので、どんでん返しは弱い。
でもまあ、なんだかんだ楽しめた。

 

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