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ファンタジー 書評

【ブックレビュー】優しい死神の飼い方(著:知念実希人)

更新日:

【作品情報】
 作品名:優しい死神の飼い方
 著者:知念 実希人
 ページ数:409ページ
 ジャンル:ファンタジー
 出版社:光文社

 おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
 ホロリとする度 : ★★★★★★★★☆☆
 こういう人におススメ! : 優しい物語に触れたい人

 

■作品について

死神が地上に降りてきた!
犬の体に降臨した死神が、ホスピスで人生の最期を迎えようとしている人たちの未練を解き放とうと奮闘する。
一方で、病院となっている洋館では7年前に殺人事件が発生し、今のその犯人は捕まっていない。
患者たちの心のケアをしながら、殺人事件についても近づいていく。

心温まるファンタジー

■良かった点

なんといっても全編を通して心温まるのが良いですね。
末期がんに侵された患者たちは残り少ない命を抱えている。
そして同時に、この世に対して大きな未練や後悔を抱いており、このままでは地縛霊化してしまう。
地縛霊となるのを防ぐため、左遷された死神が犬の体に憑依してやってきた。
未練をなくすために頑張るっていうのは、他でもどこかで聞いたことあるような感じはします。
ですが、一人一人の未練をなくすエピソードをつなげていくと、一つの大きなストーリーが浮かび上がってくる。
殺人事件の謎が解かれていく、というのはなかなかに面白い展開です。

そして、そんなストーリーを楽しくさせているのは間違いなく主人公である死神。
ゴールデンレトリバーの体に憑依した死神は、ホスピスの看護師である菜穂から「レオ」と名付けられる。
レオは、人間界のことに当たり前だがそこまで詳しくなく、さりとて知らないというわけでもなく。
その言動がなんとも味があって笑わせてくれる。

自分は優秀な死神だと自負し、確かにそうなのだろうが、やはり人間のことを分かっているわけではない。
だから、意外と抜けているというか、詰めが甘い部分がある。
そこが微笑ましい。
また、犬の体なので、自分の意識とは裏腹に犬の行動をしてしまうのも笑える。
大好きな「しゅうくりいむ」を前にすると尻尾をぶんぶんと振ってしまったり。
菜穂に怒られると仰向けにひっくり返ってお腹を見せてしまったり。
絵を想像すると・・・・

最後、事件が解決して、でも哀しい別れが待っている。
優しいけれど切なくてホロリとさせられる。
読みやすい文体で最後まで一気に読ませられる良作です。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

仕方ないとはいえ、最後はやっぱり切ないなぁ。
続編もありますよ。

 

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感想(2件)

 

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