書評と主にマリア様がみてるの二次創作(旧:よしのXブレード)

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【マリみてSS(色々・ネタ)】りりあん通り商店街 (2)

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~ キラメキ! りりあん通り商店街 <食事処> ~

 

お昼が近づいてきてお腹もすいてきたので、近くのお店に入ることにした。
「いらっしゃいませっ!!」元気のよい声が出迎えてくれる。
「お客様はお一人で――って、げ」
「客に向かって、『げ』はないだろう、ちょっと」
「……し、失礼しました。席はそちらにどうぞ」
「こら可南子、お客様になんて態度とっているのよ……って、あら祐麒くんじゃない、お久しぶりー」
「お邪魔します、美月さん」と、奥から顔を見せた可南子の母である美月に挨拶する。
ここは『食事処 月可美人』。美人の女将である美月と可南子で切り盛りしている人気店。
「おーい可南子ちゃん、注文いいかーい」
「あ、はい、ただいま!」
注文を取りに素早く動く可南子に無駄はない。おっさん二人が注文を取りつつ、看板娘の可南子に軽口を叩くのが聞こえる。
「ちょっとヤスちゃん、銀二くん、可南子は祐麒くんのお嫁さんになるんだから、いくら口説いても無駄よー」
するとすぐに、美月が茶々を入れてくる。可南子は真っ赤になりながら慌てて否定する。
「お、お母さん、変なこと言わないでよ! なんで私が、こんなやつのっ……」
毎度毎度のことなのだから可南子も流せば良いのにと思うのだが、性格的にそうもいかないのだろう。
「ゆ、ユウキも何か言ったらどうなのよ、そんな軽薄そうな笑いを浮かべてないで!」なぜか矛先は祐麒にも向けられる。
「それじゃあ美月さんなら? 美月さんさえよければ俺、立候補しちゃうよ」
「何よそれ、可南子が駄目ならみたいに失礼ね。それに残念ながら私の心も体も、既に祐麒くんのものだからっ」
美月はそう言って祐麒の腕に抱きついてきた。おおおおおおおっ、という感じに沸き立つ店内。
「祐麒くんには私のお婿さんにきてもらって、このお店を継いでもらうことになっているんだから、ね?」
「ちょ、ちょちょっ、何を言っているのよお母さん!?」

「だって、可南子が駄目なら私がしないと、このお店が途絶えちゃうじゃない」
「だだ、だからって、そんなのは駄目だからっ」

美月と反対側の腕を掴んでくる可南子。
「おいおい兄ちゃん、美月さんと可南子ちゃん、母娘に二股ってぇのはちょいと酷いんじゃないか?」
「大丈夫よヤスちゃん、私達仲良く三人でしているから……ね?」

ウィンクしてくる美月。
確かに以前、酔っぱらって前後不覚になり、朝気づいたら三人素っ裸でベッドで寝ていたことはあったが……
何も無かったはず……だよな? 美月も可南子も、酔うと脱いで迫ってくる悪癖があるだけのはずなのだ。
「それじゃあ、私の愛情のたっぷりこもった『母娘丼』、すぐに作るから待っててねん」
「なんか、微妙な響きのような」
「あら祐麒くん、『母娘丼』好きじゃない。ふふ、お昼も夜も『母娘丼』のごちそうねっ、美味しくいただいてね」
「そりゃ、美月さんの『親子丼』は絶品ですけど……」
「マジかよ兄ちゃん!? ちくしょーーーーーーーーっ!!!!」轟く絶叫。
とにかく、いつでも賑やかで明るい店なのであった。

 

~ キラメキ! りりあん通り商店街 <古書店> ~

 

お昼を食べてお腹いっぱいになったところで少し落ち着きたく、祐麒は馴染みの古本屋へと入って行った。
見た目はこじんまりとしているが、中は意外と広さもあり、書棚にはぎっしりと本が詰まっている。
『トリアンダーフィロ古書堂』に入ると古書独特の匂いが心地よく体を包み込んでくれる。
店主の姿は店の奥まで行かないとみることができない。そして店主は、たいていが本に夢中で気が付かない。
だから、近づいて呼びかけるしかないのだ。
「蓉子さん。蓉子さん、こんにちはー」
「……っ!? え、あ、ゆゆ、祐麒くん。いらっしゃい……いつからいたの?」
「たった今、来たばかりですよ」
気が付かなかったことが恥ずかしいのか、蓉子は読んでいた文庫本で口元を隠し、上目づかいで祐麒を見上げていた。
そんな様が可愛らしくてつい口元が緩くなってしまいそうになる。
才媛の彼女がどうして古書堂をやっているのか真意は分からないが、本が好きだということは間違いないはず。
「あの、良かったらどうぞ、座ってください」
狭いスペースだが、もう一つだけ椅子が余っているので腰をおろす。昔はなかったが、祐麒がくるようになって用意された。
「何を読んでいたんですか?」
話しを振ると、蓉子は嬉しそうに本の話をしてくれる。本当に本が好きなのだということがよく伝わってくる。
さらに雑談をかわす。最近、奇妙な客がやってきて、蓉子が本に関する知識を生かして秘密を解き明かすなんてことがある。
祐麒もそれに関わったりしたのだが、蓉子の本に対する知識と造詣の深さには感心させられたものである。
「もしかして蓉子さん、探偵とかできるんじゃないですか?」
「そんな、探偵なんてとても。私はただ、静かにここで過ごしていければ……で、出来れば……」
なぜかちらちらと恥ずかしそうに祐麒を見てくる蓉子。
「あ、もしかして俺、仕事の邪魔でした? それでしたら、そろそろ」勘違いした祐麒が腰を浮かせかける。
「え、そ、そういうわけじゃあっ」慌てて蓉子が祐麒に手をのばし、弾みで後ろに積み重なっていた本に触れてしまう。
「あ」と思った時には遅く、本が二人に向かって一気になだれ落ちてきた。
「痛たたた……だ、大丈夫ですか、蓉子さん?」
「は、はい、すみません……あ」目を開き、驚く蓉子。二人は折り重なり抱き合うように倒れていたから。
「はわ、わ、わ……」真っ赤になり、ぷしゅーっと顔から蒸気を噴出させそうな勢いの蓉子。
その後結局、二人で本を片づけ終わるまで、なんとも微妙な雰囲気の中を過ごしたのであった。

 

~ キラメキ! りりあん通り商店街 <花屋> ~

 

倒れてきた本によって体のあちこちを痛めたが、体は特に問題ない。
祐麒は商店街を再び歩き始めた。そして、「そういえばここは……」と思ったところで、目の前に花束が出現した。
「先輩っ、こんな素敵な花束を私にプレゼントしてくれるんですか、嬉しいっ!!」
きらきらと星が輝くような錯覚さえ覚える女の子が、まさに瞳を輝かせて祐麒を見つめていた。
「い、いや笙子ちゃん、俺は別に……」苦笑するしかない。
祐麒がやってきたのは『フラワーショップ Show』、店先には色とりどりの様々な花が置かれている。
「ちょっと笙子、まったくいい加減にしなさい、いつもいつも……」
と、店の奥から出てきたのは笙子の姉である克美。束ねた髪に眼鏡と、笙子と比較すると何とも地味。
しかしながら、太陽と月のような二人の姉妹でこの花屋は人気だった。
笙子が表でお客さんを呼び寄せ、克美は仕入れや店の経営をして、非常にバランスが取れているのだ。
「えー、何よ、お姉ちゃんだっていつもは奥に引っ込んでるくせに、先輩が来たときだけこうして出てくるじゃん」
「なっ……そ、そんなこと、別にないわよっ」
克美は慌てて否定をしてみせるが、笙子はにやにやと笑って狼狽する姉のことを見ている。
「やせ我慢してー、この前せんぱいに貰ったお花、押し花にして凄い大切にとってあるの知ってるんだから」
「ちょ、しょ、笙子っ!?」
「へー、そうなんですか。そんなに気に入ってもらえたら送った甲斐もあるもんです。嬉しいですね」
祐麒が照れたように言うと、かーーーっと、頬を真っ赤に染める克美。
「ずるいなー、お姉ちゃんにだけ誕生日プレゼントあげるなんて」
「いやいや、笙子ちゃんの誕生日はまだ先でしょうが」
「それじゃあ、私もプレゼント期待していいの、先輩っ!?」
「ははっ、まあ、そんなたいしたもんはあげられないと思うけど」
流石に克美にだけプレゼントして、笙子にしないというわけにはいかない。苦笑して笙子の頭を撫でる祐麒。
「たいしたものじゃなくてもいいよ、先輩の『愛』さえこもっていれば、指輪とかでも」
「指輪なんてたいしたものじゃない! 笙子はまた、馬鹿ばっかり言って」
「ぶーっ! お姉ちゃんはお祭りの夜店でおもちゃの指輪、せんぱいにねだってたくせにー」
「あっ、あああああれは、べべべつに深い意味はなくて、ただ、可愛いかなって……」
しどろもどろになる克美をやり込めていく笙子。いつまで経っても仲の良い姉妹。
そんな華やかな二人の声を背に、祐麒は店を後にした。

 

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