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マリみてSS(由乃、祐麒他)】ぱられる19 お祭り前日! ①

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~ ぱられる! ~

 

 「ぱられる19   お祭り前日! ①」 

 

 

 修学旅行が終わると、すぐに学園祭モードへと突入する。祐麒のクラスは特に何の変哲もない喫茶店を出すことになっている。クラス内で分担を決め、レイアウトを考え、メニューを考え、内装を考え、衣装を考え、まあ色々と忙しなく準備を行っているわけである。今はまだ余裕があるが、これが文化祭直前になれば夜遅くまで残るのは当然のこと、学校に泊まり込みで準備、なんてこともある。実際、去年の文化祭の時は酷い寝不足に襲われ、文化祭当日のほとんどを寝てしまうという失態をおかしたものである。
 今年はそんなことにならないように、そう思ってはいてもうまくいかないのが世の常。きっと何かしら問題が噴出してあちこち走り回ることになるのだろう。
 クラスの出し物以外にも、文化系のクラブはこの時こそ自分たちの出番だとばかりに気合いを入れている。
 祐麒は特にクラブに属していないので、クラスの出し物にさえ力を入れていれば大丈夫、だったはずなのだが。
「……なんで俺は、ここで手伝っているのでしょうか?」
 放課後、文化祭の準備で次第に雰囲気が出つつある校内をぶらぶら歩いているところ、不意に何人かの女子生徒に取り囲まれて拉致連行されてやって来た場所がここ、生徒会室だった。
「生徒会には男子がいないのですから、暇なあなたが手伝うのは当然のなりゆきでしょう」
 祐麒の斜め前には生徒会長である小笠原祥子が座しているが、常に不機嫌そうな表情で言葉もきついので、同じ室内にいるとなんとも気詰まりになる。これで、他の生徒でもいればまだマシなのだが、祐麒を拉致ってきた女子生徒達は他の仕事があるとかでどこかへ行ってしまい、生徒会室は二人きりの空間になっていた。
「いや、まあ、いいんですけどね。でも、文化祭の手伝いまですることになるとは思っていなかったもので」
 実は今までにも何度か同じように強制的に連れ込まれ、生徒会の仕事を手伝わされたことがあるのだ。祥子の言うとおり生徒会メンバーは女子ばかりで男がいないから、力仕事なんかの時の臨時手伝いということだが、時には書類仕事までやらされて、これって男である必要ないんじゃないか、なんて疑問を口にしては祥子に睨みつけられて黙る、なんてことを繰り返していた。
 そして今日は、文化祭に向けた生徒会執行部の出し物の準備を手伝わされていた。生徒会が出店するのは恒例のことで、普段は敬遠されがちな生徒会に親しみをもってもらおう、そんな意図もあってのことだという。
 特に今年は女子だけでメンバーが成立しており、尚且つ祥子が男嫌いときているものだから男子にとっては敷居が高すぎる。非常に良いことだとは思う。
「で、今年の生徒会は何をするんでしたっけ?」
 質問すると、ぐっと口を閉じてしまう祥子。
「あの~」
「…………よ」
「え? なんですか、聞こえなかったんでもう一度……」
「だ、だから、『メイド喫茶』よ!!」
 顔を赤くしながら怒ったように言う祥子。
「あぁ、『メイド喫茶』……なるほど」
「ちょっと、なんでそんな淡白な反応なの!? わ、わ、私達生徒会が、そんな恥ずかしいことをしようっていうのに!」
「ええっ!? いや、そりゃ驚きましたけど、だからこそ気をつかったのに!?」
 聞いた瞬間、「マジか!?」と内心で叫んだのだが、目の前にいる祥子のことを思って外に出ないよう気遣ったのに怒られるとは。
「でも、随分と思い切ったことをしますね」
「今年の生徒会は例年以上に他の生徒から距離がある、なんて思われているようですから、これくらいのことをしないと、という意見が出たのよ」
「確かに……正直なところ、全く想像しなかったですからね」
 言いながら祐麒は生徒会メンバーの姿を思い浮かべる。
 生徒会長の祥子は言わずもがな、学園ナンバーワン美少女とも言われるくらいの美貌を誇っている。
 副会長の蟹名静も黒髪の美しい美少女で、祥子と同じように男嫌いと言われている。だから、一部では祥子と静はデキているんじゃないか、なんて百合疑惑もあるくらいだ。
 会計の鵜沢美冬は目立たない感じの女子で、祥子にひっついているイメージがある。
 書記には内藤克美。眼鏡をかけて無造作に髪の毛をまとめている、こちらも地味な女子だけど、なぜか祐麒は退廃的な色香を感じてしまう。
 さらにヒラメンバーとして西園寺ゆかり、京極貴恵子、綾小路菊代などが所属している。実はそれ以外にも祥子のファンが臨時メンバーとして所属していて、多忙な時には手伝ってくれているらしい。
 いずれの女子もなかなかに美しく、あるいは可愛らしいが、喜んでメイド服を着るような女子がいるとも思えない。よくもまあ、メイド喫茶の案が生徒会内で通ったものだ。
「――――随分と、我が生徒会メンバーの子達に詳しいんですね」
 顔を上げると、やたらと冷たい表情をした祥子が祐麒のことを冷たい目で見据えてきていた。
「え? いや、何度も連れてこられて手伝わされていますし……」
「ふん」
 なぜか機嫌の悪い祥子。いや、大抵の時は機嫌が悪そうに見えるので、そうおかしいことではないかもしれない。祐麒は話しを続けることにした。
「それで――メイド喫茶となると、俺が手伝うところなんてないと思うんですけど」
 力仕事があるとして、前日や当日の店の設営くらいではないだろうか。そう思っていると、祥子がテーブルに何枚かの紙を出して並べた。
「いえ、あなたにしか出来ないことがあります……福沢祐麒さん。これを」
 物凄い迫力で押し付けられた紙を手に取り目を落としてみると。
「こ……これは!!」
 そこには、幾つかのメイド服デザインが描かれていた。
 可愛らしいもの、シンプルなもの、ゴスロリっぽいもの、露出度が少し高めのもの、方向性は色々異なるが、どれも良いデザインに思える。
「肝心のメイド服のデザイン……それをあなたに決めてもらおうと思って」
「そんな重要な役、俺でいいんですか?」
「いいのです。その……と、殿方の好みというのが、私達には分からないから」
「そう、ですか」
 デザインを改めて見て考える。
 男の好みと言われても、様々なものがある。単に露出度の高いものを選べばよいというものではない。それに、男の好みというだけでは駄目だ。この学園は女子の方が割合が多いし、生徒会に対しては女子生徒のファンが多い。それが、男に媚を売るようなメイド服を着たらどのように思われるか。
 祐麒だって、できるなら色っぽい服を着てもらいたいというスケベ心もある。だが、それを通せば良いというものではない。
「あの……これ、今すぐに決めないと駄目ですか?」
「え? そんなことはないけれど、発注してから作る時間もあるから、そうね、明後日までには決めて欲しいけれど」
「分かりました、それじゃあ明後日までに考えてきます。これ、お借りしますね」
 デザインの紙をクリアファイルに入れて立ち上がる。
「あ……も、もう行くのかしら? 紅茶くらい、いれてもよくてよ」
「ああ、いえ、お手伝いできるのこれくらいなら、邪魔しても悪いですし。今日はこれで失礼します」
「あ……」
 祥子が止める間もなく、すたすたと生徒会室を出て行ってしまう祐麒。

「…………別に、邪魔だなんて言っていないじゃない」
 口を尖らせる祥子。
 そして、祐麒が出ていくのと入れ替わるようにして、隣室にいた生徒会メンバー達が雪崩打つように入ってきた。
「祥子お姉さまっ、福沢さん、どのデザインを選びました? やっぱり、私一押しのやつですよね?」
「何言っているんですの、私がデザインしたのに決まっていますわ」
「べ……別に、メイド服なんて着たくないですけれど、福沢先輩がどうしてもと選ぶのでしたら、やぶさかではありませんわ」
 西園寺ら三人の一年生がかしましく言い合うのを、克美や静が冷めた目で見つめている。
「……まったく、くだらないわね、メイド喫茶なんて」
「あら、そういう克美先輩だって反対しなかったじゃないですか」
 祐麒は知らない。
 無理矢理に生徒会活動を手伝わされ、女子メンバーには散々なことを言われ続けていたのだが、無駄にフェミニストな祐麒は女子の言葉をやんわりと受け流し、真面目に活動を手伝い、そうこうしているうちに徐々に彼女達に受け入れられているということに。
 特に一年の三人娘は箱入りお嬢様、憧れの祥子をならって男嫌いと言いはしているものの、そもそも男子と接する機会自体を殆ど作っていなかったのだ。そんな彼女らが祐麒と共に活動し、尚且つ鈍感な優しさを持つ祐麒に接することにより、徐々に好意を抱くようになるのは自然な流れだった。
「皆、静かになさい。会議を始めるわよ」
 祥子の一声によって、とりあえず騒ぎは収まるが。
 祥子の胸の内のざわめきは、なぜか収まらなかった。

 

 

 生徒会室を後にして向かった先は写真部だった。特に用事があったわけではないが、なんとなく歩いていたら近くに来ていたので、せっかくだから写真部は文化祭に何をするのか聞いてみよう、そう思って寄ってみたのだ。
「そんなこと言って、私が部室にいない可能性もあったでしょ?」
「その時は帰るだけだし」
 部室を訪れるとちょうど蔦子がいたので、そのまま中に居座ってお喋りに興じている。
「それで、写真部は文化祭で何やるんだっけ……って言っても、いつも通りの展示か」
 毎年、部員の撮影した写真の展示を行うのが恒例だが、昨年に蔦子が入部してその写真を飾り、例年以上の評価を得たらしい。文化祭当日の部員達自身は、文化祭のあちこちを動いて回って撮影する仕事を請け負っているから、人のいらない展示が良いし、写真部ならそれで十分なのだ。
「……それが、今年はもう一つあって」
「へえ?」
「…………コスプレ撮影会」
「へぇ??」
 おもわず、まじまじと蔦子の顔を見返してしまう。
「漫研、被服部とコラボして、やるの。これなら写真部のメンバーも最低限の参加で済むしね」
 蔦子の説明によると、漫研が保有しているコスプレ衣装、および被服部が新たに作成する新作衣装を貸し出して来場した参加者にコスプレしてもらい、写真部の腕利きが撮影して写真を渡すというイベントらしい。
 漫研が提供するアニメ、ゲーム系のコスプレ衣装の他、被服部が提供する世界の民族衣装などがあるとのこと。
「へー、面白そうじゃん。あ、そこに並べてあるのがその衣装?」
 部室内の奥に、既に衣装が並べられていた。
「うん、いくつか見本として送られてきたの」
 衣装を見つめる。普段はコスプレする人の方が圧倒的に少ないだろうが、文化祭という非日常的な空間で、こうして場所も時間も限定されたところならばコスプレしてみよう、という人もそれなりにいるだろう。
「なあ、ちょっと試してみないか?」
「は? 何よ、試すって」
「だから、実際に衣装を着てみて、撮影してみるってこと。本番前に、さ、やっぱり主催者側としてはそういうことやっておく必要があるんじゃないか。着てみてマズイ衣装とかあったりしたら駄目だろうし」
「そうかもだけど、何、祐麒くん何か着てみたいのがあるの?」
 目をぱちくりさせる蔦子に、ノンノンと首を振ってみせる。
「着てみるのは蔦子だよ。どうせ当日は撮影する側にまわるわけだろ、だったら事前に着てみようぜ」
「なっ……なんで私が!? 嫌よ、そんなの」
「なんだよ、自分が嫌なことを人にはやらせるのか?」
「そ、そういうわけじゃないわよ。ただ、私はそういうのは」
「いいじゃん、どうせ俺だけしかいないんだし、蔦子も撮影される側の心理とか知っておいた方がいいだろ?」
「そんなこと言われたって……」
「それに蔦子だったら、似合うと思うんだよな、由乃なんかより全然スタイルいいしさ」
「――――」
「……ま、そう言ってもさすがにムリか……」
「わ、分かったわよ、着てみればいいんでしょ?」
「え?」
「そ、その代わり、祐麒くんが選んでよね。私、良く分からないし」
「え、あ、ああ……マジ!?」
 蔦子は拗ねたような顔をして横を向いている。どんな気持ちで言ったのか知らないが、これはチャンスである。祐麒は悪乗りして衣装を選んだ。

 

 写真部の部室の外、祐麒は壁に背をもたれかからせて蔦子が着替え終えるのを待っていた。冗談半分で提案したことであり、まさか蔦子が承諾してくれるとは思わなかった。更に祐麒が選んだ衣装も、相手が蔦子だから悪ふざけで通るだろうと選択したのだが、これまた頷いてくれるなんて想定外だった。
 自分で提案しておきながら、祐麒は僅かに緊張してその時を待つ。
「……蔦子、そろそろいいか?」
 待ち時間が長く感じられ、軽く扉をノックして声をかけると、「……う、うん、いいよ」と小さな声で返事が聞こえた。祐麒はわざとらしく一つ咳払いをしてから、扉を開いて部室内に入った。
 そして、目に入った蔦子の姿を見て動きを止める。
「あ……ちょ、ちょっと早く入って、ドアを閉めてよ」
「ああ、す、すまん、うん」
 言われて慌てて後ろ手で扉を閉める。
「な……何よ?」
 言葉を失っている祐麒に向かって、蔦子が口を尖らせる。
「い、いや。なんというか……その」
「わ、分かっているわよ。どうせ私にはこんなの似合わないってことくらい。でも、祐麒くんが選んだのよ? こんな」
「馬鹿、違うって、逆だよ! 思っていた以上だったからびっくりしたんだって」
 祐麒が悪乗りした選んだ衣装はチアガールで、その時点で他と比べて露出度が高いのだが、チアガール衣装そのものも誰が持ってきたんだと言いたくなるようなもので。
 ベストの丈は短くてお臍は丸出し、ミニスカートからむっちりとした太腿が伸びている。アームカバー、ブーツカバー含めてデニム風にまとめられていて、締めはウエスタンハット。即ち、ウエスタンなカウガール風のチアガールだった。しかも、ベストが小さかったのか、はたまた蔦子の胸が大きいのか、ベストのボタンは一つしか留められず、セットのブラトップに包まれた胸が見えている。その胸も、はち切れんばかりに自己主張をして祐麒の目を引き付ける。
「サイズがあわないから、苦しいし……」
 胸を気にして視線を落とす蔦子。それならば無理に着なければ良かったのに、というかこれだけエロい衣装なんだから拒絶したところで文句などないのに、素直に着替えるとは蔦子らしくない。
「いや……でも、すげー可愛いと思うよ?」
 思わず、素直に賞賛の言葉が口をつく。
「えっ!? あ……ありがと」
 赤くなってもじもじする蔦子。
 本心では、それ以上にエロいと思ったがさすがに口には出さなかった。
 しかし、本当にいつの間にこんなエロい体つきになったのだろうか。胸は先ほど述べたとおりだが、きちんとくびれた腰つきだけど、どこかぽっちゃりとした肉付きは保ったお腹、太すぎず細すぎない太腿、柔らかそうな二の腕。
「う~~~っ、やっぱり恥ずかしすぎるっ」
「いや、だったらそんなコスチュームを選択肢として入れておくなよ」
「まだ、その辺の最終選別前だったのよ。こ、これはボツね」
「えー勿体ない。じゃあせめて、お蔵入りになる前に撮影しておくか」
「えっ、撮るの!?」
「そりゃ、そのために着替えたわけだし。よし、ポーズ取ってみな」
「ポーズって言われても、ど、どんな……」
 まだ恥ずかしいのか、腕で体を隠してモジモジしている蔦子に祐麒は携帯端末のカメラを向ける。
「じゃあ、テーブルに手をついてみて」
「え、こ、こう?」
 自分ではよくわからないためか、意外と素直に祐麒の指示に従ってテーブルに両手をつく蔦子。すると、自然とわずかに前かがみになって胸を両腕で強調するような格好となる。祐麒は逃さずにシャッターを押す。
「も、もう、いいでしょ」
「まだ一枚だけじゃん」
「一枚で十分でしょ」
「ちぇ、分かったよ」
 調子に乗り過ぎて蔦子の気分を害しても悪いと思い、素直に引き下がる。何はともあれ、貴重な一枚をゲットできたのだからよしとしよう。画面で確認し、こんな蔦子の姿なんて相当なレアものだと改めて思った。
「え、えと……もう、いいの?」
「うん、ああ、悪乗りしてごめんな」
「…………べ、別に、もう一枚くらいなら、いいけど?」
「えっ、マジで!? じゃあ次は……テーブルの上に寝そべって」
「調子に乗るなっ!!」
「がっ」
 赤面した蔦子の腰の入ったストレートが祐麒の顎を打ち抜き、脳を揺らされてその場にダウンする祐麒。
「……まったく、祐麒くんだけだからね、こんな私を撮影するのなんて」
 呟く蔦子の声が祐麒の耳に届いたかどうか、それは誰にも分からないのだった。

 

おしまい

 

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