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ミステリー 書評

【ブックレビュー】十戒(著:夕木春央)

更新日:

【作品情報】
 作品名:十戒
 著者:夕木 春央
 ページ数:304
 ジャンル:ミステリ―
 出版社:講談社

 おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 ラストの衝撃度 : ★★★★★★★★☆☆
 こういう人におススメ! : 騙されるミステリーが好き

■作品について

浪人中の里英は、父と共に、伯父が所有していた枝内島を訪れた。
島内にリゾート施設を開業するため集まった9人の関係者たち。
島の視察を終えた翌朝、不動産会社の社員が殺され、そして、十の戒律が書かれた紙片が落ちていた。
“この島にいる間、殺人犯が誰か知ろうとしてはならない。
守られなかった場合、島内の爆弾の起爆装置が作動し、全員の命が失われる”。
犯人が下す神罰を恐れながら、「十戒」に従う3日間が始まったーー。

■良かった点

前作の「方舟」に続く、特殊な状況下に閉じ込められた人たちを襲う殺人事件。
今回は孤島に閉じ込められることにはなるけれど、電話やネットは繋がり、本当の意味で閉じ込められたわけではない。
ただ、犯人からの指示により、孤島に閉ざされている状況でい続けるしかない、という状況。

犯人から渡されたのは、十の戒律。
それさえ守れば、いずれは解放されるという。
その「十戒」に従う3日間を過ごそうとしている中、戒律を破ったとされる人が殺されていき。
犯人を捜したら戒律に背くことになる。
それでも、犯人が誰か分からないままでいられない。
そもそも、本当に戒律を守っていれば最終日には解放されるのか?
疑心暗鬼の3日間を経た後、明らかになる真実とは。

ということで、果たしてラストにどういうことになるのか、それを想像しながら読み進める作品。
トリックがどう、とかそういう作品ではない。
犯人は誰で、なぜ、十の戒律を残していったのか。
それを探り、考える作品である。
ミステリ―というよりサスペンスですね。

なお、この十の戒律は読者にも向けられている部分でもある。
というのは、登場人物たちはこの戒律を守っている、守らなければならない立場だということを意識して読む必要があるからだ。
これはある意味でネタバレというかヒントにもなるのだが、これくらいは許容範囲か。
このことを前提に読むと、また読み方が変わってくるかもしれない。
正直、「方舟」ほどの衝撃はない。
でも、「方舟」を読んでいると衝撃がある。
そういう作品でもある。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

とりあえず登場人物たちに色がないというか特徴がないので、誰が誰かどうしても分かりづらいのは「方舟」と一緒。
あとやっぱり、「方舟」を読んでいた方が楽しめるかな。

 

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