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SF 書評

【ブックレビュー】クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅤ(著:五代ゆう)

投稿日:

【作品情報】
 作品名:クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅤ
 著者:五代ゆう
 ページ数:400ページ
 ジャンル:SF
 出版社:早川書房

 おススメ度 : ★★★★★★★★★☆
 壮大な物語度 : ★★★★★★★★★☆
 こういう人におススメ! : とにかく満足する物語を読みたい

 

■作品について

キュヴィエ症候群により太陽光を浴びることが死につながる地獄のような世界。
そこに広がるまやかしの楽園。
人と悪魔が目指した楽園の姿とは。その迎える結末とは。
長く続いた戦いの結末を描く最終巻。

■関連レビュー
クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅠ
クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅡ
クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅢ
クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーⅣ

■良かった点

なんというか。
最後になって色々なことが本当の意味でつながり、全てが分かる。
物語とはこうあるべきだ。

なぜ、「アバタールチューナー」なのか?
ジャンクヤードの崩壊とニルヴァーナ(現実世界)の崩壊。

あえて全て説明をせず、行間を読んで読者に考えさせるのも良いだろう。だけど、本作ではあまりそういうこともなく、読んで納得させられる。
まあ、ゲームの方があまり説明されなかったというのはあるかもしれないが。
しかし、第一部、第二部、第三部で、本当に毛色の異なる作品だが、全てを読み終えるとそうあるべき作品だったのだと頷く自分がいる。
異世界SF(ゲームの世界的)から本格SFへと移り、第三部はそれら二つを融合させている。
そして作品全体を通しては、SFという殻をまとっているのに、前編通して<神>と<人>について語っている点が特異か。

ラスト。
ずっと苦しみ、戦い続けてきた主人公たちだったが、ラストはハッピーエンド。
それも、「これしかない」と思わせるエンディングである。
作者は本当に最初から練りに練って一部から書いてきたのだろう。

SFではあるが、ファンタジー的でもありゲーム的でもあるから、SFを避けている人でも読みやすいのではなかろうか。
全部で5巻、長いと感じるか短いと感じるかは人それぞれだろうが、この5冊の中に濃密な物語が詰められていることに間違いはない。
これ以上でもこれ以下でもない、五代ゆうが全てを詰め込んで出来上がった至上の物語。
それが

「クォンタムデビルサーガ アバタールチューナー」

なのである。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

改善点をあげるようなことはしない。
個人的なことだけを言えば、アルジラが好きなので、彼女がサーフと幸せになってくれたらという思いだけだ。

 

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