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SF ミステリー 書評

【ブックレビュー】君と時計と嘘の塔 第一幕(著:綾崎 隼)

更新日:

【作品情報】
 作品名:君と時計と嘘の塔 第一幕
 著者:綾崎 隼
 ページ数:256ページ
 ジャンル:SF・ミステリー
 出版社: 講談社

 おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 導入としての良さ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 こういう人におススメ! : タイムリープものが好き

 

■作品について

自分の大好きな女の子が死んでしまった。
そんな悪夢から綜士が目覚めて学校に行くと、何かがおかしい。
綜士の唯一の友人である一騎が消えてしまっているのだ。休んでいるとかそういうものではない。
存在そのものが消えてしまっている。

奇妙な事態に巻き込まれた綜士は、時空の歪みの謎を追う千歳、そして同級生の雛美とともに、謎を追いかけ始める。

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■良かった点

いわゆるタイムリープ、ループものです。
本作は一巻で終わるのではなく、四巻まで続く。だからこの一巻目は導入にあたる。
だからつまらないかというと、そんなことはない。

好きな人の死をきっかけにタイムリープしてしまう。
タイムリープを逃れるには彼女を死なせないようにしなければならない。
この設定、展開はよくあるというか、ループの王道。
だけど単純にそれだけではなく、一味、二味とギミックが加えられている。

なんといっても、まずタイムリープして過去に戻ると、自分にとって大切な存在の人が一人消えてしまうということ。
これによって、何度タイムリープしてでも悲劇を回避すれば良い、ということにはならなくなった。
リープを抜け出すことが出来ても、大事な人が戻ってくるとは限らない。大事な人がいないのでは意味がない。
だからこそ必死に足掻くわけだ。

さらに、綜士以外のもう一人のタイムリーパーである雛美。
二人のタイムリーパーがいることで物語はまた複雑に絡み合うことになる。
なぜ、雛美はタイムリープをしているのか?
綜士がタイムリープを抜け出せても、雛美は抜け出すことが出来るのか?
考えるが、当たり前だがこの巻では解答は出てこない。
次の巻が楽しみな幕引きになっている。

登場人物も、変人だが天才肌の千歳。
破天荒だが、タイムリーパーとして鍵を握っている雛美。
そして綜士が思いを寄せる芹愛。

彼らがこの後、どのようにもがき、苦しみ、乗り越えていくのかを見ていきたい。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

まあ、作品としては四部作の導入にあたるので、謎は謎のままで解決しない。
どうしても状況の説明、登場人物の紹介になってしまうのは致し方ないところか。
主人公が過去を引きずってうじうじしている系なのがちょっと、という気もするが。

 

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