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【マリみてSS(蓉子・聖・江利子・景)】DISASTER SISTERS! 2-1

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 朝、陽が昇るとともに目を覚ます。
 寝起きはもともといいし、ずっとそのような生活をしてきたから、眠気に負けて二度寝をするなんていうことは無い。身だしなみを整え、近くの川辺まで歩き、小川の冷たく澄んだ水で顔を洗うと、残っていた眠気も綺麗さっぱりと消えうせる。
 空を見上げれば、大きな白い雲がゆったりと浮かんでいるのが目に入り、見たことのない鳥が元気よく横切ってゆく。
 気候はよく、気分の良い朝。
 だけれども蓉子は、素直に喜ぶことはできなかった。

 なぜなら。

「いったい何日、野宿を続ければいいのよーーーっ!?」

 

DISASTER SISTERS! <2-1>

 

 蓉子たち三人の旅は、街を出てから既に一ヶ月近く経過していた。その間に、まあ、それなりに色々とあった。
 他国の騎士団をぼこぼこにやっつけたり、盗賊団だと思って叩きのめしたら実は盗賊団を征伐しにやってきた一団だったり、集団に囲まれている子供を助けたら悪の魔法使いの子供だったりと、悪名をあげるようなことばかり。
 おまけにその間、まともな家屋で眠ることなどわずかに数えるほど。今ではすっかり野宿生活も慣れ、こうして気がつけばいつの間にか三人分の朝食を用意している始末。
 こんなことになっている元凶の二人といえば。

「ん~、蓉子駄目よぉ、そんな……大胆な……あ、んぁ」

「んふふ……イヤだっていっても体は正直ね、蓉子……」

 などと呑気に、人を勝手に淫らな夢の中に登場させて惰眠を貪っている。この一ヶ月というもの、蓉子は自分の貞操を守ることにも気を割かねばならなかった。
 いや、別に聖も江利子も嫌いというわけではないが、やっぱり野外でというのはどうかと思うし、野宿が続いて体も汚れているし、聖と江利子どちらを選べといわれても困るし。
「……ち、違う、違うっ! やだ、私ったら何を考えているの」
 ぶんぶんと頭を振り、頬を軽く手で叩く。
 慣れない旅での生活に、少しばかり心が疲れているのかもしれない。蓉子は細く、ため息をついた。
 すると。
 首筋に吹きかけられる、吐息。同時に、やわやわと胸を伝う感触。背筋を這い上がってくる、悪寒にも似た刹那の快感に、思わず小さな声を漏らす。
「朝からため息なんて、らしくないわね。私が蓉子のこと、癒してあげる。ほら、私に身を委ねて……」
「え、江利子……?」
 耳朶に触れるのは唇か。
「大丈夫、聖はまだ寝ているわ。ふふ、声をあげるのが怖いなら、服の裾を噛んで」
 そっと、江利子の指が胸元に入ろうとする。
 後ろから抱きしめてくる格好の江利子に、その体勢のまま腕をあげて江利子の頬に手を添える蓉子。
「……ん、蓉子? ちょっ……首が……って、ふぎゃあっ?!」
 首の後ろに指をかけ、そのまま腰を跳ね上げ、江利子の体を、首を支点に前方回転させる。首での背負い投げだ。
 受け身を取ることもできず、モロに背中から大地に叩きつけられた江利子は、「げふっ」と、妙な呻き声を吐き出した後にそのまま気を失った。
「何が、『癒してあげる』よ、ストレスの元凶が!」
 蓉子の声はもちろん、転がる江利子の耳には入らなかった。

 何時もと変わらない、旅の朝だった。

 

「……仲間を増やす?」
 珍しくまともな提案をしてきた聖に、蓉子は目を丸くした。
 確かに、今のパーティではバランスが悪い。悪すぎる。なんたって、踊り子(弓使い)、吟遊詩人、神官だ。普通に考えれば戦闘能力が低すぎる。今まで戦えてきているのは、三人の身体能力あってこそだが、この先、鍛えられた本職の戦士や凶悪なモンスターが出てきた際に、なんとも心もとない。攻撃能力はまだしも、三人とも肉体的にはどうしたって脆い。前衛、すなわち盾となってくれるような、丈夫な戦士系が欲しい。攻撃魔法を持つ魔道士などもいいが、守ってくれる人がいてこそ、魔道士は生きてくる。
「やっぱさ、今はバランスが悪いと思うんだ」
「そうよね。聖も分かっているじゃない」
「そう。あと一人いれば、誰かがあぶれることもないじゃない」
「……ん? 何の話?」
「だから、あと一人加われば二組できるから、夜の生活も安泰でぶがはぁっ!!」
「変なこと言っていると殴るわよ」
「な、殴ってる! グーで殴ってるから!」
 涙目で頬っぺたをおさえている聖は無視する。
 ちなみに江利子は、朝の罰で今日一日は蓉子の奴隷ということにしているが……微妙に嬉しそうに見えるのは、気のせいだろうか。
「真面目な話、確かに今のメンバーじゃバランスが悪いわ。この先、戦いがなければいいけれど、そんなことありえないでしょうし」
「そうね、お宝探しするなら、モンスターも出るだろうし。お金稼ぐために傭兵稼業するなら戦争とかもあるかもしれないし」
「そう考えると、やっぱり欲しいのは戦士とか剣士とか」
「うーん、そうねえ」
 話しながら歩くが、いくら話したところで現実に仲間ができるわけもない。とりあえず私たちは、次の街で目ぼしい人物がいないか探してみよう、ということになった。

 

 そしてお昼を過ぎた頃に辿り着いたのは、リリアン帝国と、お隣のオーナカ共和国の境に位置する街。帝国内では最も辺境に位置する街とはいえ、隣国との繋ぎもするし、物資の交易地でもあるから、街は大きくて栄えている。  オーナカとはそれなりに友好的とはいえ、小さな小競り合いはしばしば発生しているから、この街には腕に自信のある者もいるだろうという期待も込めて、私たちは街に足を踏み入れた。
 落ち合う場所、時間を決め、三人ばらばらに行動をする。
 これは、と思う人物がいたら、残りの二人に報告し、実際に会ってみて決める。そういう手はずになっていた。
 条件としては、旅に出ても構わないこと、腕に自信があること、信用できそうなこと、そして女性であること。さすがに女性三人のパーティに男性を入れるつもりはないし、更に加えるなら三人とも女性愛の嗜好だった。
 リリアン帝国は、その国柄のせいか、女性同士が恋仲となることは珍しいことではない。
 聖も江利子も、昔から女性しか愛せないと広言している。蓉子自身は、どこか気恥ずかしくて、まだ自分の嗜好を他人に伝えることはしていないので、同性愛者だということは知られていないはずだ。(……と、本人は思い込んでいるが、実は周囲の人間からしたら明々白々なのであるが)
 そんなこんなで、三人は旅の情報を仕入れるのと同時に、仲間探しにも力を入れる。もっとも、すぐに丁度よい人材が見つかるはずも無く、あっという間に三日ほどが過ぎ去ってゆくのであった。

 

2-2へつづく

 

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