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ノーマルCP マリア様がみてる 江利子

【マリみてSS(江利子×祐麒)】メルティング・テンプテーション <その2>

更新日:

~ メルティング・テンプテーション ~
<その2>

 

 

 江利子とのデートを間近に控えた中でアルバイトを終えたところ、一つの問題点が提示された。
「これは由々しき問題よね」
 着替えをしようと更衣室に向かうと、その更衣室の前で麻友が腕を組んで唸っていた。ちなみに、先日の騒動で祐麒と女子アルバイトの着替え時間帯の区別は撤去されたが、可能な限り祐麒は時間をずらすようにしていた。当たり前だ、一緒に着替えていると、祐麒の方がセクハラ被害にあうのだから。
「どうかしたんですか、麻友さん」
 既に着替え終わり、ラフな格好になっている麻友に何の気なしに声をかけると、なぜか肩をしっかりとつかまれた。
「ユキちゃん、問題なのは、あなたなのよ」
「はあ??」
 疑問符を飛ばしている祐麒に、麻友は説明してくれた。
 店に問い合わせがあったようで、問い合わせしてきた人物曰く、祐麒がアルバイトの日、閉店後ずっと出口を見ていたけれど、なぜかユキだけがいつまで経っても出てこない。一回だけであれば単に見逃したのかとも思ったが、何日も確認したが、やはり同じである。これは一体、どういうことか。もしかして店側はユキが逃げないよう、店内に監禁でもしているのではないか、という。
 ユキの姿が見つからないのは当然で、祐麒は男の姿に戻っているし、ここのところずっと店ではウィッグをつけているから髪形も髪の長さも全く異なる。祐麒のことに言及しないのは、他の子には目もくれていないのか、他のアルバイトだと見間違えているのか。
「それって、ストーカーじゃあ。何か気持ち悪いなぁ」
 思わず、げんなりする。
「それだけ熱烈なファンってことでしょう。でも、実際に問題じゃない、これをきっかけに正体がばれたりしたら、まずいでしょう?」
 確かに良くない状況に追い込まれるが、さりとてどうすればよいのか。まさか、制服のまま外に出るわけにもいかないだろう、と思って麻友を見てみると。
 なぜか笑みを浮かべて祐麒のことを見ている。
「な、何か、麻友さん?」
 嫌な予感がした。たいてい、そういうものは的中する。
「前から言っていたでしょう、お店に来るときは女の子っぽい格好で来るようにって」
 江利子からも言われていたが、いくらなんでも街中を女装して歩くのは躊躇われたので、祐麒は忠告を無視する形で通っていた。
「えと、まさか……」
「これはやっぱり、ちゃんと女の子の格好で通ってもらわないとねぇ~」
「いや、でも、それはイヤかな、なんて」
 当たり前だが、拒否する。
 しかし麻友は、そんな祐麒に対して何やら小さな音楽プレイヤーのようなものを突き出してきた。
 麻友がスイッチを押すと、スピーカーからノイズ交じりの音が再生される。

『――観念して見せて。興味ある』
『ややややめてくださいお願いします他の事なら言うことききますからーっ!!』

 紛れも無く、祐麒の声であった。
 あのどさくさに紛れて、まさかこんな録音をしていたとは思いもしなかった。
「他の事なら言うこときくって、確かに言っているわよねぇ?」
「はは……はあぁ」
 力ない返事をする。
「大丈夫、服なら私が一緒に選んであげるし、お店の経費ももらうから」
 そんなことに経費が出るのかと思ったが、祐麒に辞められる方が店としてダメージが大きいということで、店長も了承してくれているという。
 完全に、先回りで包囲されていたようである。
「任せて、安くて可愛い服売っている店、知っているから」
「そう言われましても」
「じゃあ、ちょうど明日は朝から入って夕方であがりよね。お店が終わったら一緒に行きましょうか」
「はあ……って、明日!?」
 いきなりすぎやしないかと思ったが。
「そいじゃ、私ちょっと用事があるんで、また明日ねー」
 止める間もなく、麻友は店を出て行ってしまった。
「えっと」
 一人取り残され、制服姿のままで立ち尽くす祐麒であった。

 

 翌日。
 バイトのシフトも終わりを迎え、更衣室に入って着替えようかとロッカーを開けたところで、麻友が入ってきた。
「あ、祐麒くん、着替えはこれにして」
 小走りに寄ってくると自分のロッカーを開け、中から何やら袋を取り出して祐麒に押し付けてきた。
 受け取りつつ、「なんですか?」と目で問いかけると。
「女の子の洋服を買いに行くんだから、それなりの格好をしないとね」
「はぁ」
 と、嫌な予感を抱きながら袋を開けて中を見てみると。
「え、ちょ、ちょっとコレって」
「多分、サイズも問題ないと思うけれど。あ、着方分かる? 手伝おうか」
「え、や、ちょっと……や、やめてくださいスカート捲らないでっ、じ、自分で着替えられますからっ」
「あら残念」
 どうにか魔手から逃れるが、同じ更衣室内なのであまり意味がない。それでも、女性の手によって着替えさせられるよりは、僅かにましのような気がした。
 そして。

 

「――ううぅ、ま、麻友さん!」
 祐麒は大きな声をあげた。
 一方、祐麒の姿を見て麻友は。
「やーん、ユキちゃんやっぱり似合う! 超カワイイっ!!」
 と、嬌声をあげて喜んだ。
 祐麒の身を包んでいるのは、白いブラウスに淡いグリーンのネクタイ、マロンカラーのジャケットにブラックのスカート、そしてレギンス。もちろん、バイトのときからウィッグをつけている。
「こんなの、無理です!」
「いや、しっかり着てから言っても説得力ないけれど」
「ううー、確かにー」
 バイトでは正規の店の制服以外にも、特殊な制服を着たりすることが幾度かあったし、場所もバイト先の更衣室なので、なんだかんだ言いつつ同じような感じで着替えてしまったのだ。そして、女子の服に着替える際にさほど手間取らなくなっている自分に、げんなりする。
「私の高校時代の制服なんだけど、あ、ユキちゃん、制服のスカートは折りこんで短くしなくちゃ」
「短くしなくていいですっ!」  スカートの裾をつまみかける麻友の手を、慌てて避ける。今は膝丈だが、これ以上短くするなんてとんでもない。トランクスがはみ出してしまうではないか。
「これじゃあ絶対領域がないじゃん……超萌えなのに」なんて呟きながら、麻友は不満そうに小さく舌打ちなんかしているが、絶対にお断りである。
「やっぱり、やめましょう、無理です!」
「大丈夫だって、ね、ほら」
 自分の服に着替えなおそうとする祐麒を、麻友の手が抑える。二人してもみあっているうちに、更衣室の扉が開く。
「何、どたばた騒いで……って、ユキちゃん!? きゃーーーーーっ!! みみみ、みんな来て、って、あ、仕事中かっ」
 黄色い声をあげたのは、亜子。その声につられるようにして、恭子と澄香が何事かとかけつけてきて、同じように歓声をあげて騒ぎ出す。
 ちょうど、店が空いている時間にぶちあたってしまったのだろうか。店内に戻るわけでもなく、きゃあきゃあと騒いで携帯電話で写真を撮りまくる。
 だめ、やめてと身を隠そうとしても、隠すものなど何も無く、恥しい姿をばっちり収められてしまった。
 これ以上残っていても被害が拡大しそうなので、祐麒は仕方なく店の外に出て行くのであった。

 

 内心で泣きながら、女子高校生の格好で麻友に連れられるようにして街を歩くのは、思っていた以上に恥しかった。はっきりいって、舐めていたかもしれない。店内はやっぱり閉ざされていて、特異な空間だったのだ。
 周囲の視線が全て自分に注がれているかのような錯覚に襲われる。そう、女装した変態男を侮蔑の目で見ているように。
 店で着る服よりもスカートが短いから、いつも以上に脚がスースーして、必然的に歩幅は小さく、スカートの裾を抑えての歩き方になる。
「大丈夫だからユキちゃん、絶対、女の子にしか見えないから。自信持って」
 隣で麻友が力づけてくれるが、ちっとも嬉しくなかった。
「恥らう姿もなかなかそそるけれど」
 余計な一言が、更に祐麒の心を暗くさせる。
 帰りたい、でもこの格好では帰れない、なんでこんな風に言いなりになってしまったのだ、誰か知っている人に見られでもしたら破滅じゃないか、本当にこのままでいいのか、思い悩みながら目的地に辿り着いていた。
 麻友お薦めの、安くて可愛い服の置いてある店である。
 そしてその店で、麻友が色々な服を手に取って選んでいるのを、横で呆然と見つめていた。
「ほらー、ユキちゃんも選びなよ、どれがいい?」
 ワンピースを広げながら麻友が問いかけてくるが、選べといわれたところで何がいいのかわからないのだ。
「ユキちゃんならやっぱ、可愛い系よね。ミニいこうか、露出高いの」
「やややや、やめてください、そーゆーのは」
 色々と騒ぎながら、プリーツミニスカート、デニムのスカート、カットソーにパーカーといったものを購入し、さっそく購入したロングパーカとチェック柄のスカートに着替えさせられる。スカートは膝下丈だし、先ほどの女子高校生スタイルよりはよほどマシだったが、ひょっとするとそれこそ麻友の狙いだったのかもしれない。
 服を購入した後はさっさと帰りたいところだったが、麻友が離してくれない。そのままカラオケボックスに拉致られる。
「よっし、歌うぞー! ほらユキちゃんもぱーっといこうよ」
「ううぅ、もうやけくそだー!!」
 幸い、カラオケボックスで個室ということなので、他の人からじろじろ見られる危険性はぐっと低くなった。
 こうなったら歌わないと溜まったストレスや、自分自身に対する情けなさを払拭できそうもなく、マイクを握り熱唱した。いつの間にか麻友が注文していたアルコールも口にして、気分は高揚していく。
 麻友も酔っ払ったのか、祐麒にべたべたと絡み付いてきたが、祐麒自身も慣れないお酒で酔い、セクハラまがいの麻友の行為もあまり気にならなくなっていた。
「もー、ユキちゃんってホント、お肌すべすべよねーこの太腿とかたまらないっ!」
 祐麒の首に腕をまわし、且つ空いているもう片方の手でスカートをめくりあげるようにしながら太腿をさする麻友。
「あー、なんでおっぱいないにょー。でも平らなところもそそるー」
「あるわけないでしょーが、そんなの」
 胸をぺたぺた触ってくる麻友の手を、笑いながら払いのける。それでも麻友は脚を祐麒の上に乗せるようにして絡め、抱きついてくる。麻友の胸が押し付けられてきて、冷静であれば恥しがって退けるところだが、気分がハイになっていた祐麒はその感触をさらに楽しむように麻友を抱き寄せる。
「もうっ、ユキちゃんホント可愛いぃ! ユキちゃんみたいなコだったら、私、マジで欲しいんですけどー」
「何、言ってんですか麻友さん。ほら次、歌いますよー!」
「おー! 私、ユキちゃんのマイクで歌ったげよーかー!?」
「わはは、下ネタやばいっすよ麻友さん。うおー、このPVの女の子かわいい」
「なによー、私の方がおっぱい大きいぞー!」
 乱痴気騒ぎはひたすらに続き。
 そしていつしか、祐麒の記憶はぷっつりと途切れた。

 

 気持ち悪さと激しい頭痛で、祐麒の意識は目覚め始めた。
 何がどうなっているのか、さっぱり分からない。なんでこんなに気持ちが悪いのか、頭の中でドラム缶を叩かれているような痛みはなぜなのか、シーツに丸まりながらわけも、訳が分からずにただ吐き気をこらえる。
 カーテンの隙間から漏れてくる光により、どうやら朝、あるいは昼だということが分かるが、今は何日の何時なのか。確認をしようと携帯を手探りで探し、何やら柔らかいものを手が掴んだ。
「…………え?」
 目を開けると、目の前で女性が寝ていて、祐麒はその女性の二の腕あたりを掴んでいた。
 数秒の後。
「うおぉぉわぇお!?」
 祐麒は激しい勢いで上半身を起こした。
 状況のありえなさに、頭痛も吐き気も吹き飛びそうだった。
 祐麒の隣で寝ている女性、それは間違いなく麻友だった。しかも、かろうじてシーツはかかっているが、明らかに裸である。全裸である。
 加えて祐麒自身、ほぼ裸の状態だった。スカートは乱れて脱げかけており、なぜか下着は完全に脱げていた。上半身は胸がはだけている。
 見回せば、見たことの無い部屋の中で、一つのベッドで裸の麻友と寝ていたということになる。
 昨日のことを思い出そうとして、頭痛に顔をしかめる。
「確かカラオケを出て……そうか、ここ麻友さんの部屋だ」
 完全にデキあがった二人は肩を組むようにして夜の街を歩き、どうやって帰ってきたか覚えていないが、とにかく麻友の部屋に泊まることになったのだ。
 しかし待て、この状況って不味くないか? ひょっとして昨夜、何かとんでもないことをしてしまったのだろうかと思い出そうとしたところで、携帯電話の着信メロディが鳴り響いた。
 だが、どこか枕の下か布団の中にでも紛れてしまったのか、携帯電話が見当たらない。キョロキョロと探していると、着信メロディが鳴り止む。相手が諦めたのかと思ったが、そうではなかった。
「…………」
 まだ目を閉じたままの麻友が、どこからか手探りで探し当て、電話に出たのだ。
 電話の向こうから、声が聞こえてくる。
『――もしもし祐麒くん? もう、約束の時間は過ぎているわよ、どうかしたの?』
 聞こえてきた江利子の声に、祐麒の血の気が引いた。
 そういえば今日が江利子との約束の日だったし、どうやら約束の時間を過ぎてしまったようだが、それだけではない。今、祐麒の携帯電話を手にしているのは、麻友なのだ。麻友が何か喋る前に取り返さなければと、手を伸ばし、どうにか携帯を奪い取る。
「も、もしもしっ!? ご、ごめん、すぐに向かいますからっ」
『何、まさか忘れていたとか』
「ちち、違うんです。昨日、友達の家で夜通し遊んで、寝過ごしちゃったんです。すみません、すぐに行くんで待っててください!」
 有無を言わさず、それだけを告げて電話を切る。
 慌てて室内をもう一度見てみると。
 幸いというか何というか、麻友は寝ぼけていたようで、今はまたあられもない姿を晒して眠っているようだった。
 形の良い胸の膨らみと、お尻の曲線が目に入り、思わずこのまま見ていたい気にもなったけれど、江利子との約束をすっぽかすわけにもいかなかった。
 朝食をとる時間もなく、顔を洗って髪の毛を直し、とにかく外に出てもおかしくないように身づくろいをして、祐麒は麻友の部屋を飛び出した。

 そう、それはもちろん、女の子の格好で、であった。

 

 スカートの裾を激しく翻しながら、祐麒は疾走していた。時折、どこかの少し好色そうな男性が目を向けてくるが、気がつくこともない。もともと男である祐麒は、スカートを履いていようが、その裾が乱れて太腿が見えようが、気にすることはなかったから。
 とにかく、全力で江利子との待ち合わせ場所に向かう。経緯や江利子との関係はともかくとして、約束したことに間違いは無く、しかも今、江利子を長いこと待たせていることも事実なのだから。
 そしてようやく、息も切れ切れになって待ち合わせ場所に到着する。
「――っ、お、おまたせ、し、しまっ……た」
 江利子を見つけて前まで進み、膝に手をついて喘ぎながら、頭を下げる。全力で休まずに駆けてきたから、心臓が破裂しそうなほどに激しく脈打っていた。
 そんな祐麒の姿を見て、江利子は呆れているように目を丸くしていた。
「祐麒くん」
「お、遅れて、すみま……せん」
「それもそうだけど、その、格好」
 指差されて、ようやく自分が女子の格好をしていることに気がついた。咄嗟にスカートの裾をおさえ、赤面するも明らかに時既に遅く。
 江利子はにやにやとしながら祐麒のことを見つめてくる。
「へえ~、なに、ひょっとして、はまっちゃった?」
「ち、違いますっ!」
「じゃあ、どうしてわざわざ女の子の格好でデートに現れたのかしら?」
 問われて、素直に答えられるわけも無かった。まさか昨日、麻友と服を買いにいき、そのまま麻友の部屋に泊まってしまい、慌てて飛び出してきたなんて。また、良い言い訳も咄嗟には思い浮かばず、結局のところ無言で俯くしかなかった。
「そんなに恥しがらなくていいじゃない、世の中には色々な人がいるわけだし。それに私は、祐麒くんがそういう趣味でも構わないし、むしろ面白いというか」
「だ、だから趣味とかじゃなくてですね」
「いいから、いいから。さ、行きましょう」
 江利子はご機嫌な様子で微笑んできて、その可愛らしさに思わずドキドキしてしまう。
 花柄のプリントに黒無地シフォンの裾フリルがついたフード付きのチュニックを着て、フリルから伸びる脚は黒のニーハイソックスに包まれている。シンプルだけれど、それだけに素材(本人)の可愛らしさが光っている。
「江利子さん、可愛いですねそれ。すごく似合って」
 だから素直に賛辞の言葉が出た。
 すると。
「やだ。急に、何よ」
 照れたように、怒ったように、口を尖らせる。わずかに頬が赤くなったように見えるのは、やはり照れだろうか。
 時にこういう素直な反応を見せられると、江利子が愛しく思えてしまうのだ。
 何にせよ、大幅な遅刻をしたこともどうやら有耶無耶にされそうだということで、胸を撫で下ろす。
 しかしもちろん、江利子はそんな簡単に許してくれるような人ではなかった。
「そういえば、二時間も遅刻した理由、まだ聞いてなかったなー」
 僅かに顔を上に向け、人差し指を形の良い顎にあてるようにして呟く江利子。だが理由など言えるはずも無く、黙ったまま、隣を歩くことしか出来ない。
「言い訳も、なし?」
 ちょっと悲しそうな江利子の表情を見ると、罪悪感に襲われる。言い訳はできないが、黙っているわけにもいかず、祐麒は謝るしかなかった。
「す、すみません。あの、今日は江利子さん、何でも付き合いますから、ね?」
 何が、「ね?」なのか分からなかったが、祐麒は精一杯、媚を売るように笑いかけた。
 するとそんな祐麒を間近に見て、なぜか江利子は顔を赤らめた。そして慌てて目をそらし、口元を手でおさえて何やらつぶやく。
「やば……祐麒くん可愛い……」
 祐麒は意識していなかったが、女の子の格好をして、しかもそのことに自覚もあるから恥しいと心の中で自然と思っている祐麒は、恥じらいを見せながらあどけない笑顔を浮かべるという、実に心をくすぐる仕種をとっていたのだ。
「江利子さん?」
「な、なんでもないの。行きましょう、時間がもったいないわ」
 歩き出す江利子の後を、追いかける。
 横に並んでみてみると、江利子の表情はすっかり元に戻っていた。そして、隣にやってきた祐麒をみて微笑み、口を開く。
「じゃあ、今日は一日、何でもつきあってね?」

 まるで、天使のような微笑だった。

 

 

その2に続く

 

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