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ギャグ・その他 マリア様がみてる

【マリみてSS(色々・ネタ)】小ネタ集5 ショート百合3

更新日:

1.
「うぅ~ん」
もぞもぞと毛布の中で身体を丸める。
どうしてこう、朝の布団の中はこんなにも気持ちよいのだろう。
あたたかくて、やさしくて、大好きな人に包まれているよう。
だけど、いつまでも寝ているわけにもいかず、祐巳はのっそり身を起こした。
起きた拍子に毛布がずるりと落ち、祐巳の体があらわになる。
一糸纏わぬ、生まれたままの姿が。
「あら。朝から刺激的ね、祐巳ちゃん」
「っ?!」
言われて気がつき、慌てて毛布で体を隠す。
「今さら隠さなくてもいいじゃない」
「でも、恥しいものは恥しいです」
景さまが、キッチンの方から歩いてくる。景さまは、下着の上にシャツという刺激的な格好。
シャツの裾から伸びた脚が眩しい。景さまはそのまま、祐巳の隣に腰を下ろした。
「ふふ、可愛いんだから」
景さまの手が、髪にのびる。いつも両脇で結ばれている髪の毛は、昨夜景さまにほどかれ、乱れたままだ。
「祐巳ちゃんの髪は、本当にクセが強いわね」
「景さま、昨日もそれ、言いましたよ。それが景さまの口癖ですね」
「あら。祐巳ちゃんったら」
二人で顔を見合わせ、くすくすと笑う。
幸せの、一幕。

 

2.
「蔦子ちゃん。さすがにこんなところで写真を撮るのはどうかと思うわ」
「あの、でも紅薔薇さま……」
「貴方が熱心で真剣なことは分かるわ。それでも、わきまえる場というものがあるでしょう」
複数の生徒が見守る中、紅薔薇さまはいつもどおり毅然とした態度で接する。
その凛とした姿、表情に、ファンの生徒は心うたれる。

しかし---

「……さっきは随分と大勢の前で恥をかかせてくれましたね、紅薔薇さま……いえ、蓉子?」
蔦子が微笑むと、蓉子はびくりと体を震わせ、おどおどしたように蔦子のことを見る。
「だ、だって……あれは蔦子ちゃんが」
「へえぇ」
「あ……つ、蔦子……さまが」
怯えたように慌てて言い直すが、既に遅い。蔦子は無言で蓉子に歩み寄り、無造作に手をスカートの中に入れる。
「ひゃんっ?!」
「くすくす。天下の紅薔薇さまがこんなところにこんなものを入れているなんて、誰も思わないでしょうね」
「や、やめ……うぅ」
「そんなこと言って、本当はお仕置きされることを期待しているんでしょう? こんなにしちゃって」
「ふ……う、あ……はい……お仕置き……してください……」
蓉子の熱い声が響く、放課後の写真部---

 

3.
パシャッ!
突然のシャッター音に、乃梨子はびっくりして振り返る。
振り返った先に居たのは、可愛らしい笑顔を振りまいている少女の姿。
「もう、笙子ったら、いきなり撮るのはやめてって言っているでしょう」
「えーっ、でも意識したとたんに乃梨子ちゃんは表情かたくなるから」
首から提げたカメラを手にした笙子は、立派に蔦子の弟子といった感じだ。
もっとも、撮影技術はまだまだのようであるが。
「私の写真なんかとって、楽しいの?」
「楽しいよ。被写体が乃梨子ちゃんだったら、なんでも可愛いし」
あっけらかんと、恥しいことを言い放つ。乃梨子は僅かに頬を朱に染め、唇を尖らす。
「な、何よ。私なんか可愛くないわよ、全然」
「えーっ、そんなことないって」
歩き出すと、すぐに小走りで駆け寄り、乃梨子の隣に並ぶ。
「……特に、ベッドの上での乃梨子ちゃんとか」
「ぶっ?!」
とんでも発言に乃梨子は変な声を出し、顔を赤くしながら笙子のことを睨みつける。
「しょ、しょ、笙子。あなた、まさか……」
「えへへー。寝顔、撮っちゃった」
「ううう……」
「あ、怒っちゃった?」
「別に」
「あーん、ごめん、お詫びするから許して」
「お詫び?」
「今度は、乃梨子ちゃんが私の寝顔、撮っていいよ」
「……え。そ、それって……」
「だからね、また今日……泊まりに行って、いい?」
上目遣いで、ちょん、と首を傾け大きな目で問いかけてくる笙子。僅かな恥じらいを見せたその表情に乃梨子は。
鼻血が出そうになるのを懸命にこらえながら、ただ頷くだけであった。

 

4.
室内に、パソコンのキーボードを打つ機械的な音だけが反射している。
画面を見つめ、ひたすらに集中しているのは髪の毛を七三に分けている少女。
真剣な顔をしてタイピングしている背後からは、そっと近づく怪しげな影。しかし少女は気がつかない。
そっと首筋に伸びてくる手。その手は、少女の首を絞めるかのようにまわされ……
「……ま~みタン♪」
「ひうっ?!」
肩をすくめ、びくんと体を震わせる真美。
背後からは、真美の首筋を撫でながら軽く息を吹きかけている江利子。
「え、え、江利子さまっ。いつの間にっ?」
「もう、集中すると本当に周りが見えなくなっちゃうんだから。大分前から、来ていたんだけれど」
わざとらしく拗ねたように口を尖らすと、真美は途端に慌てだす。
「す、すみません。その、締め切りが近かったので」
「いいのよー、どうせ私なんかより締め切りの方が大切なんでしょうしー」
「そ、そんなことないですよ」
「いいのよ、無理しないで」
と、江利子が後ろを向いてしまうと。江利子の予想に反して、いきなり真美が抱きついてきた。
そのまま体重をかけてきて、バランスを崩し、二人もつれるように倒れる。
仰向けに天井を向いた江利子の前に、真美の顔が。真剣な表情をしながらも、どこか顔が赤い。
「……真美ちゃん? ……ひあっ?!」
不意に真美の指が動き、江利子の脇腹を撫ぜる。続いて鎖骨。的確に弱い箇所を攻められ体を震わせる江利子。
「こうやって、江利子さまの身体をタイピングする方がずっと好きなんですからっ」
「な、何よそれ……ん、あん」
いつになく積極的な真美に、江利子もなす術がない。諦めて快楽に身を委ね……るようなことは、江利子はしない。
手をそっと真美のお尻にのばし、這わせる。真美が可愛い声で鳴き、身体をぴくぴくさせる。
それでも、下になっている江利子の方が不利だ。真美も耐えながら容赦なく攻めてきて、形勢は悪くなる。
(……ま、でもたまにはこういうのも面白いしね……んっ……)

5.
彼女との出会いはいつだったか。正確なところは覚えていない。
ただ、心をうたれる美しい歌声に、自然と惹かれていた。
「私は、もっと前から令さんのことに目を向けていたけれど?」
「?!」
不意の声に振り返ると、ベッドにうつ伏せの姿で、静が令のことを見上げていた。
シーツに押し潰された白く滑らかな胸のラインにどきりとする。
思わず、まじまじと見つめていると、静はくすりと笑い。
「どうしたの? そんなに見なくても、昨夜あんなに沢山、触れたでしょう?」
「しっ、静さんっ!」
事実なのだが、口に出して言われると恥しくなる。
行為の最中は夢中だけれど、明るくなって落ち着くと、いつも思い返しては赤くなる。
「ふふ、そんなギャップも令さんの良いところなのだけれどね」
肘をつき顔を上げる。重力に逆らえず胸の谷間がくっきりと目に入る。
だけれども、全部は見えない。その、絶妙な感じが欲情させる。
令は頭を振って煩悩を追い払う。昨夜あれだけ、愛し合ったというのに、そんなまた朝から。
と、令が神経を集中させていると。
ふにょ、という擬音が似合いそうな感触が、背中に押し付けられた。そして首筋にくすぐったい吐息。
「し、し、静さんっ、あた、あたってるから」
「あてているのよ」
Tシャツとショーツという格好の令、薄い布一枚を通して感じられるモノ。
顔が真っ赤になっているのが分かる。
「……ね、令さん。朝の挨拶がまだよ」
「あ……おはよう、静さん」
「おはよ……ん……」
窓から朝の光が射し込む中、二人の唇はゆっくり触れ合った。

 

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