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ノーマルCP マリア様がみてる 三奈子

【マリみてSS(三奈子×祐麒)】当たってる?

更新日:

 

~ 当たってる? ~

 

 

「お待たせー、祐麒くん」
 待ち合わせ場所にやってきた三奈子が、いつも通りに笑いかけてくる。
 カットソーにアイボリーのワンピース、ピンクのカーディガン、レギンスにブーツと、いつもながら可愛いと思う。髪型は今日はストレートに背中まで流していて、珍しいので別人のようにも見えてしまう。
 単なる贔屓目かもしれないが、こんな素敵な女性が正式に自分の彼女かと思うと、誇らしくなる。周囲を行きかう人たちに、自慢したいという気持ちも湧きあがってくる。
 世の中にはびこっているバカップルと呼ばれる男女のことを、とても馬鹿にはできないなと思ってしまう。まあ、だからといって、自分達が人目を考えもせずにいちゃつくようなバカップルぶりを見せたいとは思わないが。さすがに、恥しいという気持ちを持ってはいるから。
「いや、待ってないですよ、時間通り。えーと、それじゃあ、さっそく行きます?」
「うんっ」
 にっこり満面のスマイルで祐麒の隣に並び、ごく自然に手を握ってくる。細く柔らかな手の感触は、いつ触れてみても心地よい。三奈子と手をつないで、少しばかり自分の中の緊張がほぐれる。
 本日二人が向かっている先は、福沢家であった。
 三奈子と正式に交際をスタートさせて、祐麒はついに家族に紹介することを決意したのだ。はっきりいって、自分の彼女を紹介するなんて初めてで、しかも相手は祐巳のリリアンの先輩で、当然三奈子のことも知っているはずで、かなり恥しいし緊張もしている。
 もっとも、緊張しているのは家族も同じはずで、今頃は家でもてなしの準備をしているはずである。
「なんか、どきどきするねー」
 ちっともそんな気配を見せない表情で、三奈子は言う。
「今日、祐麒くんのお家に行ったら、次は私の家に来てね。うちのママ、早く実物の祐麒くんに会いたいって、すんごい楽しみにしていてね」
「え、もう俺のこと知っているんですか?」
「そうだよー、てゆうか、もう何年も前から知っているよ。写真だって見せているし、よく話もしているしね」
「うわ、そうなんですか。なんか、それも恥しいな……ちなみに、俺のことはどういう関係だって話しているんですか?」
「ん? お付き合いしているっていうのは、この前告白された後に言ったけれど、うーん、多分、最初から付き合っているって思っているんじゃないかな。何せ、女子校だったし、それまで男の子の話なんてしたことなかったしね」
 初めて聞く話に、なんだか赤面しそうになる。
 そんな昔から親に話されているというのに、一度も会ったことがないのだから。ひょっとしたら、なんて礼儀知らずなやつなんだとか思われていないか、不安になる。
 同時に、その頃から開けっ広げに家族に話されていたのかと思うと、それはそれでちょっと嬉しかったりもする。それだけ、祐麒のことを信用してくれていたのだろうし、家族に話すくらいの親しみは持たれていたのだろうから。
 三奈子がいつから祐麒のことを好きだったのか、それは教えてもらえていなかったけれど、今の話を聞く限り、ひょっとしたらかなり初めの頃から好意を持たれていた可能性がある。
 自然と、顔がほころんでゆく。
「あーっ、何をにやにやしているのカナ? 変なことでも考えていたでしょう」
「そんなことないですよ、別に」
「嘘だー、教えなさいこらっ」
 繋いでいた手を離し、祐麒の頬をつまんで引っ張る三奈子。
「いたたっ、ひょっほ、みにゃひょひゃん、いひゃいっ」
「あははっ、面白い顔ーっ」
 楽しそうに引っ張る三奈子の手を掴み、どうにかほっぺたから引き剥がす。この辺、三奈子は意外と手加減してくれないので、ひりひりと頬が痛む。赤くなってしまっているかもしれないと、顔をしかめていると。
 ひやっとした感触が頬に触れる。
「痛い?」
 自分でやったくせにと思ったが、三奈子の指先が気持ちよくて、あっさりと痛みを感じなくなった気がして。
「大丈夫、さ、行きましょう」
 と、再び三奈子の手を取って歩き出す。
 祐麒自身、気がついていないというか意識をしていないが、街中で他の人に見られているとも思わず、平気でそんなことをしている二人は十分にバカップルであった。二人以外の誰もが知っていることに。

 

 

 玄関が開いた。「ただいまー」という声が聞こえてきた。
「き、来たよ、お母さん、お父さんっ」
 そわそわと落ち着かない様子で、祐巳は立ち上がった。
「落ち着きなさい、祐巳ちゃん。なんで祐巳ちゃんがそんなに緊張するの」
 母はふわりと微笑み、祐麒とその彼女を出迎えるために玄関へと向かう。母の後ろ姿を見送りながら父を見ると、変わりなくソファに座って新聞を読んでいた。祐巳が一言注意すると、ようやく新聞を折りたたんでテーブルの上に置く。
 どうも両親は、祐麒が彼女を連れてくることを楽しみにこそすれ、緊張などはしていないようであった。もし祐巳が彼氏を連れてくるとなると落ち着かないだろうが、祐麒であれば話は別とのこと。そんなもんだろうかと祐巳は首を捻る。
 しかし祐巳は両親とは異なる。当然、祐麒の彼女とは年齢も近いだろう。将来のことを考えるなんて早すぎるけれど、それでも出来ることなら相手と仲良くしたい。そして何より、祐麒の姉としてしっかりしたい。姉がどうだから交際をやめる、なんてことはないだろうが、失望されないようにしなくてはと、なんとなく気張っているのだ。
 そうこうしているうちに、リビングに人の気配が近づいてくる。出迎えに行った母が、祐麒とその彼女を連れてきたのだろう。祐巳は、朝からストレートに整えていた髪の毛を確認し、ソファに再び腰を下ろす。立って待ち受けるようにして出迎えるのもどうかと思ったからだ。
 母が入ってくる。続いて、祐麒の姿も見える。その後ろに、誰かがいる。
「さあどうぞ、入ってちょうだい。お父さん、祐巳ちゃん、来られたわよ」
「お邪魔します」
 若い女の人の声が聞こえる。
 祐巳も改めてソファから立ち上がり、笑顔で出迎える。第一印象は大切だから。
「はじめまして、祐麒の姉の祐巳です」
「あ、こんにちは、祐巳さん」
 女性が頭を下げてくる。
 ん、やけに気さくだ。いくらなんでも、初対面でそれはないのではないか。祐麒の彼女、ひょっとしたら少し今時の女子高校生とか、そういう感じなのだろうか。
 見てみると、なかなの美人で、祐麒には勿体ない感じがする。とゆうか、どこかで見たことがあるような。
 と思っていると、父に向かって頭を下げた。
「はじめまして、祐麒くんとお付き合いさせていただいています、築山三奈子です。よろしくお願いします」
 ぽかん、とする。
 どこかで聞いた名前。
 ――え。
「ええええええええっ、みっ、三奈子さまーーーーっ!!?」

 

 衝撃から少し時間が経って。
 リビングで家族四人と三奈子でお茶をしながらの談笑。午前中の内に祐巳が購入してきたケーキは文句なしに美味しいけれど、なんとなく味がぼやけているように感じるのは、いまだに信じられないから。
 だって、祐麒の彼女がまさか祐巳自身の知り合いで、リリアンの学生で、それも先輩で、ということは年上の彼女で、いやまあ確かに祐麒は年上好みではあるけれど。でも、相手がまさか『あの』築山三奈子だなんて予想できるはずもない。高等部時代、新聞部には散々、苦労させられて、その原因は殆ど三奈子にあったから、苦手意識があるせいでもあろう。
 三奈子は如才なさを発揮して、両親と打ち解けたように滑らかに話をしている。隣に座っている祐麒の方が緊張しているように見えるくらいだ。
「三奈子ちゃん、今日は夜ごはん、良かったら一緒に食べて行ってちょうだい。今日はねえ、福沢家特製コロッケの日なの」
「本当ですか? 御迷惑でなければ、是非」
「迷惑だなんて、三奈子ちゃんは祐麒の彼女なんですもの、遠慮しないで」
 あっさり馴染んでいる。
 福沢家は親しみやすさがうりだから、不思議ではないのだが。
「そうだ祐麒、悪いんだけど、ちょっと荷物を取りに行ってくれないかしら。注文しておいたものがあるんだけど、お父さんの腰の調子が悪くて」
「え? でも」
 ちらと、三奈子の方を気にするように目を移す。
 すると三奈子は、安心させるように軽く微笑んでみせる。なんか、目と目で通じあっているような感じ。
 結局、祐麒が出かけている間、祐巳が三奈子をおもてなしすることになった。祐巳としたら、ティータイムにあまり話が出来なかったのである意味丁度よいと思った。

 

「お邪魔しまーす。ここが祐巳さんの部屋か、可愛らしい部屋ね」
「ど、どうも。あ、どうぞ座ってください」
 クッションを出して、祐巳もその向かいに位置取るようにして座る。
 改めて向かい合ってみると、リリアン時代より遥かに三奈子は綺麗になっていた。そもそもリリアン時代は、ポニーテールの制服姿しか見たことがなかったが、今はお洒落な服装で髪型も違うし、大人っぽくもなっている。化粧はあまりしていないようだが、それでも自然な綺麗さを保っている。
 学生時代、三奈子のことを特別な美人だと思ったことはないが、今は素直に綺麗だと思えた。生命力に溢れた美しさだ。
「あ、あの、聞いてもいいですか? 祐麒とはいつ、どんな風に知りあったんですか?」
 待ちきれなくて、直球で訊いてしまった。
「ええとねえ、私が三年生の夏休みの時にね、道で偶然に会ったのが最初」
 え、ナンパ? 祐麒のやつ、そんな度胸があったのかと驚く。
「は、初デートはどちらに?」
「夏だったからね、プール」
「えええっ、初デートでいきなりプールですかっ!?」
 オーソドックスに映画とかではないのか。祐麒であれば、無難なコースを選びそうなのに、最初から大冒険の選択である。いきなり水着姿を晒すなんて、自分だったらとても出来ないと思う。いやしかしこうして見れば、三奈子は出ているところは出ているし、腰はくびれていて、とてもスタイルが良いのは良く分かる。
 祐麒、そうだろうとは思っていたけれど、やはりムッツリすけべぇだったか。
「ええとね、これが初プリクラでしょ、それでこれが祐麒くんからの初プレゼント」
「え、ホントですかっ? あははっ、三奈子さま、祐麒、可愛いっ。え、何ですかコレ、時計? なんで祐麒のやつ、初めてのプレゼントに時計なんか?」
 三奈子が取り出したプリクラには、なぜかサングラスをかけた三奈子と祐麒。弦の部分を持って目を見せ、舌をぺろりと出している三奈子の写真は、特に二人の密着度が高くラブ度が高くて可愛らしい。祐麒が照れている感じなのも、それっぽい。
 携帯電話の画像に写されているのは、狐みたいなデザインをした時計。どうせならもっと可愛いものをプレゼントすれば良いのにと思ったが、三奈子は喜んでいるみたいなので、構わないのかもしれない。
「――あ! そういえば、前に三奈子さま、祐麒とお揃いのジャケットを着ていたことありませんでした?」
 唐突に思いだす、二年前の秋の記憶。
 三奈子と祐麒とプレゼントという言葉が結びついて、不意に浮かびあがってきたのだ。
「ああ、うん、祐麒くんと交換こしたんだ」
「交換……あーっ! やっぱり祐麒のあのジャケット、三奈子さまのプレゼントだったんですね!」
 そんな頃からそんなにもラブラブだったことに気がつかなかったとは、姉として不覚。というか、何だか色々なことをわらわらと思いだす。
「今年のバレンタインに、私経由で祐麒に渡ったチョコレートって、もしかして義理とかじゃなくて?」
「へっへー、本命チョコでしたー」
「じゃあ、あの祐麒が持っている新しいおしゃれな財布、三奈子さまからのクリスマスプレゼントだったんですか? あ、あのメッセージカードが一緒につけられていたやつですよね、そっかー、でもあのブランド、結構お高いですよね」
「私の方がお姉さんだし、アルバイトもしているから大丈夫なのでした」
「うー、なんか聞けば聞くほどラブラブだ! 祐麒なんかのどこがいいの?」
「一緒にいて楽しいところかなー」
「へー、祐麒とねぇ。そんなもんなの? ……って、わわっ、ごめんなさい、私ったらいつの間にかため口なんかきいて」
 はっとして口を抑える。
 思いのほかお喋りが弾んで、なんだか友達どうして話しているような感覚に陥って、ごく自然にそうなってしまっていた。今は同じ学校ではないが、リリアンでの先輩後輩関係を考えると、とんでもない失礼だ。
「気にしなくていいわよ、私も楽しいし、もう私もリリアン生じゃないしね」
「す、すみません」
 恐るべし、築山三奈子。
 ペースにはまって、調子に乗ってしまった。気をつけなければと反省しつつも、尋ねることを止めることができないのは、やっぱり祐巳も年頃の女の子だからか。
「あと忘れられないのは……あー、クリスマスかな、出会って初めての」
「クリスマスの思い出って、ロマンチックですね! ええと、初めてということは一昨年のですよね――あれ、一昨年って」
 そうだ、確かクリスマスイブの日、夜になって突然、小林の家に泊まってくるなんて連絡があった日。少し怪しいと思っていたが、やはりあれは嘘で、ということは実際には三奈子の家に泊まっていたのか。

「え……」
 まさかの展開に、少し驚く。
 待て待て、そうと決まったわけじゃない。そもそも、ご両親だっていただろうし。
「ちょうどあの日、両親が不在でね」
 来た、黄金パターン!
 両親が不在の日に、付き合っている男女が一つ屋根の下。聞いていて、先を想像しそうになって、顔が熱くなってくる。
「あの日は祐麒くんもちょっと強引でね、あの日初めて、私は祐麒くんを(部屋の)中に受け入れて」
「え、え、ちょっ、みみみ三奈子さまっ?」
 実の姉相手に、そこまでぶっちゃけていいんですかと問いかけたいが、実際には声が出せない。弟の、その手の話を聞いたら、今後どのような目をして祐麒を見れば、どのような態度で祐麒に接すればよいか分からなくなってしまうではないか。でも、興味がないわけでもなく、つい、続きに耳を傾けてしまう。
「まあ、少しくらい強引で良かったのかも。あの日私、色々と弱気になってたし」
「そ、そりゃあ、初めてだったら不安になりますよね。で、でも祐麒がそんな強引だなんて……で、で、その、その後は」
「んとね、私はすっごい苦しくて、辛くて」
「ああぁ、や、やっぱりそうなんですか? い、痛かったですか?」
「痛いというか、苦しかったな」
「苦しい、ですか」
 思わず拳を握りしめる。
「うん、なんかもう呼吸をするのも辛くて、寒いんだけれど体は熱くて、すごい汗は出るし、こんなの嫌だーって、思っちゃったりもした」
「ふわーっ……た、確かに、人によっては耐えられないくらいだ、とか聞いたりしますもんねぇ」
「でもね、祐麒くんが一晩じゅう、ぎゅーってして(手を握って)くれていたから、だからね、そういう辛いのも全部、飛んでいっちゃった」
「ぎゅ、ぎゅ、ぎゅーっ、ですか」
「うん、ぎゅーっ」
 想像して、真っ赤になる。
 祐麒め、なんてヤツ。
「でね、朝目が覚めたら、祐麒くんの寝顔がすぐ近くにあって。無邪気な可愛い寝顔を見ていたら、辛さとか苦しさとかも消えていって」
「あー、なんか分かるような気がします。幸せな瞬間なんですよね、きっと」
「あ、でも調子に乗ったせいか、朝にちょっと失敗しちゃってね」
「え、な、何をです?」
「夜に色々とお世話になっちゃったから、今度は私が祐麒くんをよろこばせてあげようと思ったら」
「思ったら?」
「私もこう、手の力加減が分からなくてね、力入れすぎちゃったみたいで、(シャンパンを)暴発させちゃって」
「え? 手の力加減……? 暴発……? って、あ、えと、その、手で!?」
「それで大量に噴出したのを、思いっきり頭からかぶっちゃって」
「あ、頭からっ!」
「勢いが凄くて、全然止まらなくて」
「そ、そんなに凄い勢いなんですか? 止まらないって、そんなに出るんですかっ!?」
「もう、私もびっくりしたけど、なんか可笑しくなって、最後には祐麒くんと二人で笑っていたけれど」
「はうぅ……あの、ちょ、ちょっとタイムください。お子ちゃまな私には、少し刺激が強すぎまして」
 興奮して体全体が熱を帯びている。
 なんだこれ、すごいぞこのぶっちゃけトークは。祐巳も大学生となり、外部生の友人も増え、恋愛トークの花が咲くこともあるが、まだここまでは到達していない。リリアン育ちのため、どうしても仲間として集まるのはリリアン仲間の由乃や志摩子ということが多く、そうなると当然、誰もその手の経験などないわけで、話も具体的に発展することがない。少なくとも祐巳の身近な友人で経験者がいるという話は聞いたことがない。
 しかし三奈子、今日初めて祐麒の彼女だと知った祐巳に対してここまでぶっちゃけてくれるとは、それだけ祐巳に心を開いてくれたということなのか。こんなぶっちゃけ話、両親には出来るはずもないから。
「三奈子さま分かりましたっ、私、三奈子さまの味方ですからっ。祐麒のことで何かあったら、何でも言ってください!」
 膝立ちになり、三奈子の手を握りしめる。
「はぇ? う、うん、ありがと。いきなりどうしたの、祐巳さん?」
「た、ただ、その、あまりリアルな描写は遠慮ください。何せ私、実の弟のその手の話を聞いて、どう反応すれば良いのか困るので」
「え、えー? う、うーん?」
 怪訝そうに首を傾げながら微笑む三奈子に、祐巳はなぜだか力強く頷いてみせるのであった。

 

 

 特製のコロッケを含んだ夕食も無事に終わり、三奈子がお土産に持ってきたマフィンもデザートに好評で、顔合わせはつつがなく終了した。三奈子だけに、何かが起きるのではないかという心配も少しはあったのだが、三奈子は実にソツがなかった。両親の話にはきちんと応じて適切に切り返し、三奈子の方からも適度に話しかけたり問いかけたり、父親と母親と祐巳と、バランスを取って会話するように心がけていて。
 新聞部として様々な事に興味を持ち、自らの脚で追いかけ、色々な人に取材をして話を聞いてという経験が生きているのだろう。
 明るくて、気さくで、時々抜けていたりもするけれど、真面目な所もあって。福沢家には確実に受け入れられるキャラクターだ。
「……それにしても、なんだか祐巳とやけに仲良くなっていたような気がするんですけれど?」
「んふふー、まあ女の子同士だしねー。色々と、女の子同士の話もあるし」
 三奈子を駅まで送る道の中、今日のことを話しあう。
 連れてくるまでに残っていた不安も、今ではすっかり消えていた。
 だが、新たな不安がなんとなく生まれたような気もしている。三奈子と祐巳との間に生まれた奇妙な連帯感とでもいうもの。
「何々、ヤキモチですかなー?」
 ぬふふー、と笑いながら見つめてくる。
「いや、別に」
「でも、楽しいねー」
 両手をあげて伸びをする三奈子。
 つられるように夜空を見上げる。
「今日は祐麒くんのご両親にお会いして、今度は私のパパとママに会ってもらって、こうしてお互いの世界を少しずつ知っていって、そういうのって、なんかいいね」
「確かに、そうですね」
 三奈子と出会ってから、知らなかった沢山のことを知るようになった。見たことのない世界に引っ張ってくれた。これからも、三奈子は様々なことを祐麒に与えてくれるだろうと考えると、未来がとても楽しみなものに思えてくる。辛いことも、悲しいことも、嬉しいことも、全部含めて、きっと。
「……それは、私も同じなんだよ?」
「え、な、なんですかっ。心を読んだんですかっ!?」
「顔を見れば、祐麒くんが何を考えていたかなんて、わかりますー」
「嘘ですよ、そんなの」
「本当だよ、じゃあね、今祐麒くんが望んでいたことをしてあげる」
「え?」
 言うなり、三奈子の顔が素早く近づく。何かを考える間もなく、唇に訪れ、そして不意に離れていく感触。
「当たっていた、でしょ?」
「ううぅ、ずるいですよっ」
 赤くなりながら、照れを誤魔化すように文句を言う。
 こんなの、間違っているなんて言えるわけがない。

 駅前、九時前、まだまだ人通りの多い賑やかな中。

 誰よりも賑やかな二人は、手をつないでゆっくりと駅の中へと歩を進めるのであった。

 

おしまい

 

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