~ 人格転移!? 祐麒⇔聖編 ~
「いやぁ、しかし祐麒になっちゃうなんて、思ってもいなかったなぁ」
祐麒の体に転移してしまった聖は、そんな風につぶやいて頭をかくが、あまり困っている風には見えない。
「ちょ、ちょっと聖さん、どうすればいいんですか?」
一方、聖の体に入った祐麒は困惑し、泣きそうな顔をしている。
「何よ祐麒、普通は女の体に入った男は嬉しいんじゃないの? そうね、少しくらいエッチな事してもいいよ?」
「なっ…………」聖に言われて顔を赤くする祐麒。
「うわ、自分の顔でそんな表情されるとなぁ……あ、やばい、蓉子がくる?」
聖の言葉に振り返ると、確かに蓉子が歩いてくるのが見えた。それを見て、聖が小声で言ってきた。
「先に言っておくけど、あたしと蓉子、付き合っているから。その辺、うまいことやってね」
「え……ええっ!? いや、え、ちょっと、うまくって言われても」
「とりあえず、蓉子の性感帯は脇腹と耳だから。で、最低でも3回はイカせてあげること。あと前戯をなるべく入念に」
「え、あ、え!?」顔を真っ赤にしている祐麒だったが、それ以上の余裕はなかった。
「ほら聖、何しているの? いつまでも油うっていないで、いくわよ。ごめんなさいね、祐麒くん、聖が何かしたかしら?」
「いえいえ、別に。それじゃあ」
「え、え、ちょっ……」
助けを求める祐麒の声に背を向けて、聖は歩き出した。
蓉子や祐麒には悪いけれど、せっかく男の体になったのだから色々と試してみたいこともあった。
それは。
「……あ、そこの綺麗なおねーさん、これからどちらへ行くの~??」
にこにこと話しかけたのは、若いOLっぽい二人組の女性。
「え、何この子?」
「もしかして、ナンパ? あは、可愛い~」
祐麒の童顔と聖の人懐こさを駆使して、聖はナンパをすることにしたのであった。
なお、成果は初回から3P突入、戻るまでにJC、JKから女子大生、OL、人妻、寝取りまで100人に及んだとか……
~ 人格転移!? 祐麒⇔祥子編 ~
「な、な、なななななななんで、わ、私がこんなことに…………っ!!!!」
祥子は叫びだしたいのをこらえ、なんとかそう呟くだけにとどめた。
何がって、いきなり祐麒と祥子の体が入れ替わってしまうという、ハチャメチャな事態になってしまったから。
「さ、祥子さん、落ち着いてください」
こちら、自分も叫びたい気持ちの祐麒だったが、目の前で祥子に錯乱されては落ち着かざるをえない。
なだめようとしてくる祐麒(祥子の体)を見て、祥子はさらに乱れる。
「こ、こ、この身体は私のモノですっ! 他の誰に渡すつもりは……ましてや他の男性に渡すなんて考えられません!!」
大声で言い放つ祥子。
そんな祥子(外見は祐麒)を見て、周囲がざわめきたつ。
「……祥子さまをあんな大胆にご自身のモノ扱いされるなんて、お二人はやはりできているのかしら?」
「祥子さまも否定されるどころか、顔を赤くされていますものね……なんて大胆なんでしょう」
なんて、勝手に噂が広まりつつある。まあ、見た目と発言内容だけとられれば、誤解されるようなものではあるが。
「お、お姉さま落ち着いて。とりあえず家に戻りましょう。祐麒も、ほら」
事情を知らさざるを得なかった祐巳に手を引かれ、慌てて逃げるように福沢家に帰る三人。
「うぅ、どうしてこんなことに……ああ、祐巳……」
「大丈夫ですよお姉さま、わたしがついています」
しっかりと抱き合う二人だが、見た目には祐巳と祐麒が抱き合っていることで微妙である。
「はぁ……祐巳とこうしていると、心が落ち着いてくるわ」
「はい、ありがとうございますお姉さま…………あれ? お姉さま、なんかココ……」
「えっ……や、やだ、どうしたのかしら私? あ、だ、駄目よ祐巳、触らないでそんなところ……あっ!」
祐巳と抱き合っているうちに反応してしまった下半身。さらに祐巳の手に触れられ、祥子は喘ぎ声を漏らす。
「……大丈夫ですお姉さま。私が、鎮めて差し上げますね……
「え、な、何を祐巳……? ちょ、そ、そんな、はしたない。き、汚いわっ!」
「そんなことないです、お姉さまですし……それに、ふふ」
跪き、小悪魔の笑みを浮かべる祐巳。その手際は、どう考えても慣れているとしか思えないのであった。
~ 人格転移!? 祐麒⇔蓉子編 ~
落ち着け、落ち着くのだと自分自身に言い聞かせる。
信じられない破天荒な出来事だが、自分自身の身に降りかかってきている以上、信じるしかない。
蓉子は、祐麒の体に入ってしまったことを可能な限り冷静に受け入れようとしていた。
どうにかして元に戻れるまでは、お互いの体でお互いを演じて過ごすしかない。蓉子の体に入った祐麒ともそう話し合った。
着替えやトイレ、お風呂などで色々と見られたり触られたりしてしまうのは、恥ずかしいけれど仕方がない。
お互いに割り切って慣れるしかないのだ。
とはいえ、果たして祐麒は無事に女子校の中で過ごせているだろうか。蓉子だって男子校で苦労はしている。
それでも、年上として、また生来の生真面目で世話焼き体質から、気になって仕方がない。
もちろん、蓉子の体で変なことをしでかしていなかとか、そういうことも気になる。
なので、こっそりとリリアンの近くまで様子を見に来ていた。中に入ることが出来ないので、どうしようもないのだが。
そう思っていると、ちょうど正門の近くに蓉子の体に入っている祐麒の姿を見かけた。
何やら、何人かの女子生徒に囲まれているようである。
「蓉子さん、ここしばらく凄く雰囲気がやわらかくなって、親しみやすさが増したように感じますね」
「本当、なんだかこういっては失礼かもしれませんが、凄く可愛らしくなったように思え……」
「今までは少し近寄りがたい感じもあったけれど、今は逆に、庇護欲を誘われると言いますか……」
「あ、あの、皆さん、そんな、あの、近すぎ……か、体にそんな触って……」
囲んでいるのは同じ三年生の女子達だった。何がどうなったのだろうと、物陰から体を出してみようとしたら。
「あの、あまり変な所触っちゃだめ…………あっ」
腕を組んだり、体を押し付けてくる女子から必死に逃げようとしている祐麒と目が合った。
「た、助けて、蓉子さ……あ、えと、祐麒さんっ」
「えっ? って、きゃあっ!?」
女子達から逃げてきた祐麒が、蓉子に泣きつくようにして抱きついてきた。
周囲の女子生徒達から悲鳴があがる。そりゃそうだ、見た目には蓉子が走り出して祐麒に抱きついたようにしか見えない。
「ちょ、い、いきなり、やめて。ほら、皆が見てるでしょう……っ」
自分の体がとんでもないことをしていて、蓉子は真っ赤になってなんとか離そうとするが、祐麒は離れようとしない。
「まあ、蓉子さんがあんなにも熱烈に抱きつくなんて……恋人でしょうかっ」
「こ、これはスクープですわ!? ああ、なんて大胆なんでしょう、相手の方が離そうとするのに必死に抱きつかれるなんて」
「す、すみません、蓉子さん……な、なんか怖くて……」
しがみつき、うるうるとした瞳で上目づかいに見られ、自分の顔なのに赤くなってキュンとしてしまう蓉子なのであった。
~ 人格転移!? 祐麒⇔菜々編 ~
祐麒の体に入ってしまい、男子校に通学せざるを得ない状況になってしまった菜々。
もちろん、当初は戸惑い、困りもしたけれど、考えを変えることにした。
せっかくなのだから、楽しんでしまおうと。
どうせ菜々の体に入った祐麒も、可愛い菜々ちんになったのを良いことに、えっちなことをしまくるに決まっているのだから。
おっぱいを見られたり触られたり、大事なところを見られたり触られたり、きっと一人えっちだって。
となれば、菜々だって好きなようにやらなければ損ではないか。
それに考えてみれば、花寺は男子校でリアルBL世界を堪能できるかもしれないしハァハァ
むしろ、自分がBL世界に足を踏み入れることになって『アッー!』なことになってしまうのではないか。
そんなことまで考えてしまう。
「……どうしたユキチ、真剣な顔をして。なんかお前、ここのところ様子が変だよな?」
「こ、これはもしかして、フラグきたーーーーっ!? えーと、こ、小林くん、今のはフラグ立ったってこと?」
「な、なんなんだよ、気持ち悪いなお前……め、目がいっちゃっているぞ」
「ふ、ふふ……小林くん、あなたは受けの方ですかね、てゆうか私、まだ受けの心の準備ができてないので攻めの方が……」
「って、いい加減にしろーーーーーーーーっ!!!!!」
「がふっ!? ちょ、いきなり誰……って、うえぁっ!?」
小林に迫ろうとしていた菜々(体は祐麒)にいきなりとび蹴りをかましてきたのは、菜々の体をした祐麒だった。
「え、何、この子誰?」戸惑うばかりの小林が訊いてくる。
「お、俺……いや、あ、あたしは、この人の彼女ですっ!!」
自分が男色趣味にされることをおそれた祐麒は、菜々の腕にしがみついてとんでもないことを宣言した。やけくそだ。
「へえぇ、ユキチにこんな可愛い彼女がいたなんて……中学生?」
「ちょ、祐麒せんぱい、何勝手なことしてんですか。せっかく小林先輩とのフラグが……」
「そんなフラグいらんから! ほら、もう行こう!!」ぐいぐい引っ張る祐麒だが、力が無いので動かせない。
「そうですねぇ……そうか、恋人なら……」
「何を言ってる、ほら早く……んっ!!?」
菜々はいきなり祐麒を抱き寄せると、唇を重ねた。驚きに固まる祐麒、そして小林。
「……恋人同士ならこれくらい普通ですよね? それからそう、えっちなことだって当然……」
「え、ちょ、な、何を言っている? 嘘、冗談ですよね?」狼狽する祐麒。
「男性ってどんな感じなんでしょうか。男女逆転でなんて、凄いアドベンチャーですよね、興味がメラメラと……」
「いやーーーーーーーーーーっ!!?」