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ノーマルCP マリア様がみてる

【マリみてSS(令×祐麒)】NO MORE LIES

更新日:

 

~ NO MORE LIES ~

 

 

「ううぅ、ごめん祐麒くん、まさかこんなことになるなんて」
「いえ、その、令ちゃんのせいでないことは確かですから」
 しゅんと項垂れる令に向けて笑顔を見せる祐麒。
 大切な彼女を悲しませないようにという思いは大切だが、どうしても心からの笑顔といかないのは致し方ないところか。
「こらー、支倉、何、陰でいちゃいちゃしてるんだー?」
 大学の剣道部部長である三笠宮麗の声が令の耳に届く。
「い、いちゃいちゃしているわけじゃありません」
「えー、いちゃいちゃしないの? 彼氏彼女なのに」
「それは、だって、こういう公共の場では」
「なるほど、二人きりの時にいちゃいちゃしていると」
「もう、部長!」
 顔が熱くなるのが分かる。
 からかわれていると理解しているけれど、どうしても反応してしまう。麗や他の部員達も、令が律儀に反応するのが面白いからやめないのだろうが、スルー出来るほど令はこの手の恋愛話に慣れていなかった。
 剣道部の先輩や同級生たちに恋人がいると知られ、しかもそれが年下の高校生だと知られると、会わせろという声が広がっていった。
 本来なら紹介する義理などない。今の世の中、パワハラ、セクハラだと訴えたところで問題にはならないはずだ。大学剣道部がまだまだ先輩後輩の縦社会要素が強いといっても、先輩なら何を命令しても良いはずではない。
 令も、当初は懸命に抵抗していたのだ。
 スマホに保存してある画像は見せたし、これ以上のことをする義理は無いと。
 それが一転して紹介することになったのにはちょっとしたきっかけがあった。

「――ふぅん、そんな、あたし達に紹介するのが恥ずかしいような彼氏なの? もしかして、見た目はそれなりでも中身はダメ男とか?」
 という、あからさまな挑発に。
「そっ、そんなわけないじゃないですか! 祐麒くんは優しくて可愛くて格好良い、誰にでも自慢できる男の子なんですから!」
「じゃあ、紹介できるよね?」
「あ、当たり前です!」

 と、いとも簡単に乗ってしまった令なのであった。
「自分の単純さが恨めしい……」
 頭を抱えて嘆く令。
 そんな令の頭に手を乗せ、優しく撫でてくれる祐麒。
「だから、俺は別に嫌じゃないですし、大丈夫ですって。それに嬉しかったです、令ちゃんが俺の事言われて、ちょっと怒ってくれたこと」
「だ、だって、祐麒くんのこと、ダメ男なんて言われて」
「はい、だからもう気にしないでください」
「……うん」
 撫でられていると、心がほっこりしてくる。
 このままずっと撫でられていたい、なんて思ってしまうけれど。
「――――うわぁ、知り合いのバカップルを始めて見た!」
「公共の場でも立派にいちゃいちゃしているじゃん」
「目の毒、目の毒!」
 すぐ近くに剣道部の部員達がいることにようやく気が付き、赤面して慌てて手を離す祐麒。
 恋愛初心者の二人、初めて出来た彼氏彼女ということ、さらに見た目とは裏腹に乙女チックで単純でもある令は、気を付けないとこうして周囲のことにも気が付かず自分の世界に入ってしまうことがある。
 普段は祐麒も奥手であるし、人の目がある所でそのようなことにはならないのだが、うっかりしていた。
「なんかもう、ここまででお腹いっぱいな気がするけれど」
 頬杖をつき、うんざりしたような表情で言うのは副部長である滝沢結。
「そうね、性格が良さそうなのは見ているだけでも伝わってくるわね」
「そうですよね、それじゃあ、私達はこの辺で」
 これ以上見世物になってはたまらないと、腰を上げかける令。
「……とはいえ、納得したわけではないわ。質問ターイム! はい、質問がある人は挙手を!」
 と、麗が言うと。
「はい! 告白はどっちから? どのような場所で、何を言いましたか?」
「初キッスはいつですか!」
「祐麒くんは、支倉のどんなところが好きなの?」
 一斉に手が上がると同時に質問もぶつけられる。
 とても、逃げられそうには無かった。

 

「…………」
 怒涛の質問タイムが終わると、令は力尽きたようにテーブルに突っ伏していた。
 その顔は、真っ赤になっている。
「……良かったね支倉、愛されていて」
 麗に肩を叩かれるも、身を起こすことが出来ない。
「――なんか、質問したあたし達の方がダメージでかいんですけど?」
 部員の一人が、こちらもぐったりとソファに背を凭れかけながら言った。
 数々の質問に対し、あまりにセクハラな問いは除いて祐麒は恥ずかしながらも誠実に答えていった。途中から部員達も、令に質問するよりも祐麒に訊いた方が良いと気が付き、質問は祐麒に集中していった。
 令のどんなところが好きか。
 どんなデートがしたいか。
 令にどんなコスプレをさせたいか。
 そんな質問に対して答えていくのだが、隣で聞いている令は嬉しくもあり恥ずかしくもあり、身悶えたくなるような時間を耐え、そして力尽きたのだ。
 一方で、祐麒からの得られた答えは聞いている方も恥ずかしくなるような内容で、彼氏のいない部員達は皆、討ち死にしていた。
「ま、私達には関係ないけどね、結?」
「ちょ、ちょっと、麗……っ」
 結の髪の毛を指ですくいあげ、匂いをかぐようなしぐさを見せながら麗が言うと、結は頬を朱に染め身を縮こまらせる。
 二人が付き合っているという噂は聞くが、面白半分のポーズだという声も多く、どちらが真実なのか令には分からなかった。
「そ、それより支倉、もう一つのお願い、覚えているよね」
「あ……えと、はい、まあ」
「もう一つのお願い、って?」
 祐麒に目を向けられると、気まずそうに令は視線を背ける。
「えーと、令ちゃん?」
「支倉のかわりに私が話すわ。支倉には、祐麒くんと二人で写真のモデルをお願いしていたの」
 結が言い、その言葉を聞いて祐麒は首を傾げた。
「写真のモデル、って?」
「私、大学の広報部もかけもちでやってるんだけど、広報に載せるモデルの子を探していてね、支倉に前から頼んでいたの」
「それで、なんで俺が関係あるんですか?」
「カップルで載せたいから。うちの大学にはこんな可愛いカップルがいますよって」
「俺、学生じゃありませんけど?」
「支倉がいれば大丈夫。で、祐麒くんに会わせてもらうのとあわせて、モデルをお願いしたら快諾してくれて」
「――――令ちゃん?」
「ううぅ、ごめんなさい……」
 しょぼんと項垂れる令。
 これもまた、結の安い挑発に乗ってしまった結果である。
「普通のカップル載せても面白くないじゃない。その点、二人だったら逆転カップルで面白いしね」
 ぱちりと片目を瞑って見せる結。
 確かに、上背で大きく令の方が上回っていて、見る方からしてみれば面白いかもしれないが。
「勿論、祐麒くんがどうしても嫌なら無理強いする気はないけれど、どう? 素敵に撮ってあげるわよ?」
 結に言われ、さらに部員達から期待の視線を向けられて。
 隣の令は凹みまくっていて。
 祐麒は最終的に首を縦に振らざるをえなかった。

 

 そんなことがあってからしばらくして。
 令と祐麒はまたしても呼び出されていた。
 ただし今回は麗と結の二人しかいなかった。
「あの、どうかしましたか。まだ、何かありますか?」
 怯えたようにおそるおそる令が問いかけると、麗はにやにやと楽しそうな笑みを浮かべ、結は真面目な顔つきで令を見つめてきた。
「この前、二人の写真を撮らせてもらったじゃない」
「はい、あれで終わり、ですよね?」
 写真は令達も見せてもらった。
 確かによく撮れていて、恥ずかしくはあったけれど記念になった。それだけで終わると思っていたのだが、違うのだろうか。
 そう思いながら結の次の言葉を待つ令。
「それがね、WEBサイトを私の先輩が見てくれて。その先輩、ファッション業界で働いていて、その先輩の目に留まったらしいのよ、二人が」
 そう言われても、ピンと来ない令と祐麒。
 結は話しを続ける。
「是非、二人を紹介してほしいって。モデルにスカウトしたいって」
「…………えっ?」
「スカウト?」
 思いがけない展開に頭が付いていかない令。隣にいる祐麒も同じようで、二人して顔を見合わせてしまう。
「そう。それで、二人さえ良ければ今日この後、時間があるからって」
「今日、これからですか!?」
「いいんじゃない、今日はちょうど部活休みの日だし」
「部長、そんな他人事だと思って!」
「うん、他人事だけど、プロからスカウトが来るなんて凄いじゃない。会うだけ会ってみたら? 本当にモデルになるかは置いておいて、人脈や視点を広げるのは良いことよ」
 麗がもっともらしいことを言って進めてくる。
 モデルだったら麗と結の方が絵になるのではないだろうかとも思うが、二人にはその気もないらしい。
 困ったことになったと祐麒を見れば、祐麒もまた困惑の表情を浮かべている。
「不安なら、私達もついていくし、どう?」
「お願い、私の顔を立てると思って、会うだけでも良いから」
 と、部長、副部長に揃って頭を下げられると、令としても無碍には断りづらい。どうしようと思いつつ横目でちらと再び祐麒を見ると。
「まあ、会うだけなら、いいんじゃない?」
「本当に、祐麒くん?」
「ありがとう、祐麒くん! よし、それじゃあ早速行きましょう!」
 気が変わったら困るとばかり、祐麒の手を掴んで勢いよく立ち上がる結。
「結先輩、祐麒くんの手、握らないでくださいっ」
 それを見て、思わず令はそんな台詞を叫んでしまった。

 

 結に連れられて行ったのは、とあるビルの一室。出迎えてくれたのは結の先輩の東方由羅という女性だった。ショートカットの似合う、活動的そうな雰囲気を感じさせる。
「よく来てくれたわね、うん、写真で見るより現物の方がよほど魅力的じゃない! ありがとう、早速だけど衣装合わせしてみる? 今日は簡単にでいいから」
 そして、グイグイ押してくる。
 このまま押し込まれてはまずい、モデルなんてできるはずないし、先輩の顔を立てて来ただけなのだから話だけ聞いて退去しよう。そう、令が言おうとすると。
「令くんは本当に格好いいわねえ! そして祐麒ちゃんは中性的だけどキュート! お洒落に興味持ったら世界が変わるわよ!」
 身を乗り出して迫ってくる由羅。
 その言葉を聞いて、大きな勘違いをされていることに気が付く。
「あの、東方さん。勘違いされているようですけれど、私は女です。それで、祐麒くんは男の子です」
 前にも同じような間違いをされたことがある。令はまあ慣れているが、女の子に間違われる祐麒はさすがに可哀想である。
「あらそうなの? でも格好良くて可愛いことに変わりないからいいわよ、さあ、着替えましょうか」
 しかしながら、由羅は全く気にする様子もなく話を進めようとする。
「ちょ、ちょっと東方さん。いくらなんでもそれは」
 ありえないだろう。
 そう言おうとした令の手を掴んで留めてきたのは、同席してくれていた麗だった。
「あの……部長?」
「支倉、ちょっとこっちに」
 腕を掴まれ、そのまま部屋の隅に連れていかれる。結もついてくる。
「な、なんですか?」
「支倉。あんたは、私達と同じ"匂い"を感じるのよ」
 麗が言う。麗はどちらかといえば凛々しい顔つきで、令の知り合いの中では聖のタイプ、ややバタ臭い顔立ちだが、それだけに間近で見ると気圧される感じがある。
「に、"匂い"ってなんですか?」
 その問いに、今度は結が口を開く。
 結は麗とは反対に薄い顔立ち。涼やかな目元と泣き黒子が色っぽい。
「あなた、"コスモスの青背"をよく読んでいるでしょう?」
「……っ!?」
 言われて、どきっとする。学園内では気を付けているつもりだが、コスモス文庫の特徴的にそのままで読んでいるということもあった。
 だが、その意味がわかるということは。
「何も言わないで、支倉」
 ウィンクをしつつ、背後で待ちぼうけを喰らっている祐麒にちらりと目を向けた後、麗は禁断の台詞を口にした。
「支倉さ、あんた、彼氏の……祐麒くんの女装した姿、見たいと思わない?」
「――――!!」
「私と麗はね、一目、祐麒くんを目にした瞬間から、『見たい』と思ったわ。支倉はどう?」
「…………み、見たい、です」
 結から放たれる香水の匂いであろうか、くらくらとするようなその香りにあてられたのか、はたまた二人の言葉につられてか、令は素直な思いを口にしていた。
「やはりね。支倉には素質があるわ。今度、私と結が所属しているサークルに招待してあげるから」
「今まで剣道部には全然いなかったんだけど、支倉は素質があると思っていたのよね」
「あの、部長たちのサークルって、剣道部以外でも何かされているんですか?」
「まあその辺はおいおいね。今大事なのは、祐麒くんをいかにその気にさせるか。それは彼女である支倉、あんたにかかっているのよ」
 麗に肩を叩かれる。
「私達、共通の願いの為に、頼むわよ」
 結もまた、真剣な表情で見つめてくる。
 二人の思いを受け、令は頷いた。
 そして、由羅のマシンガントークを受けて狼狽している祐麒の方へと向かい、決意を込めて言った。
「――ねえ祐麒くん。私、モデル、やってみたいんだけど」

 

「あぁ、祐麒くん可愛かったぁ」
 帰り道、令はほくほく顔だった。
 対して祐麒は疲れている様子。
「勘弁してよ、令ちゃん」
「あ、ごめんね」
 結局、令の"お願い"には抵抗しきることが出来ず、今回限りだということで祐麒に女装してモデル撮影してもらったわけだが、想像以上の可愛さに令はもちろん、撮影見学していた麗と結も大満足だった。
 帰り際に麗などは「これで当分、困ることはないわ」と、スマホにたんまり撮影したデータを見ながら呟いていたし、すまし顔をしていた結も撮影中には鼻血を噴出させていた。近いうちに二人のサークルについても教えると言われ、令としては楽しみ半分、怖さ半分といったところである。
 もちろん、データはあくまで個人用で、外に流すことは厳禁である。
「令ちゃんが積極的にモデルやりたいなんて意外だったけれど、令ちゃんがやりたいことなら応援したかったから」
「あ、ありがとう、祐麒くん」
 と言いながら内心では謝る。本当は、煩悩にまみれていただけとはさすがに言えない。
 だけど、モデルをやっていて楽しかったのは嘘ではない。
 令はあくまで男性モデル役としてではあったが、お洒落な服を着てポーズを取ると自分ではないようで、意外とすんなりと撮影に入っていけた。
 幼い頃より女子校の中で王子様の立ち位置でいたからか、違和感がなかったし、役になり切るイメージである。
 だけどまあ、一度きりのお遊びだと割り切っているからこそ楽しめたのかもしれない。ノリに乗って興奮していた由羅には悪いが、あくまで今回だけの話である。
「でも令ちゃん、約束通り、今度俺のリクエストした可愛い格好、見せてもらうから」
「うぅ、私に可愛い格好なんて似合わないのに」
「そんなことないって、令ちゃんは可愛いんだから」
 今は二人きりだが、それでも顔を赤くしながら言う祐麒。
 その手が伸びてきて、令の手を握る。
「う……ん、じゃあ、そのうち、ね」
「そのうちって言って、ずっと引き延ばすのはなしですよ?」
「えー、どうしようかな」
 笑いながら歩く帰り道。
 ちょっと刺激的な一日、それで終わるはずだったのだけど。

 

 数日後、血相を変えてやってきた結につかまり、大学内の人の少ない所に連れていかれた。
「ちょっとヤバい支倉、とんでもないことになっているらしい!」
「お、落ち着いてください、結先輩。何があったんですか?」
「先日の支倉と祐麒くんの撮影、WEBサイトに公開した直後から問い合わせが凄いらしい。『このイケメンのモデル誰ですか!? 教えてください!』、『ヤバい、衝撃の可愛さ! 出自プリーズ!』とかいうのが乗算的に増えているみたいなのよ」
「は、はぁ……?」
 今の時代、すぐにネットで公開することが出来る。
 令達の撮影も、ある意味お遊び的なところではあったが、確かにサイト掲載すると言われて承諾した記憶もある。ちょこっと載せるだけだと言われ、事前に令と祐麒もURLを教えてもらって確認したが、リンクを飛んでいかないと辿り着かないし、画像も大きくないし、まあ良いかとしたのだが。
「見つけた人が拡散して、それを見た人がまた拡散して、あんた達のことなんてネット上に情報もないから、その謎さがまた評判を呼んでいるみたい」
「そう、なんですか」
 言われたところで実感がまるでわかない。
 結は続ける。
「由羅さんの上司も、『この二人は誰だ、絶対に連れてきなさい!』って言っているんで、私に連絡が来たの。ということで、また祐麒くんつれて一緒に来てくれない?」
「え、無理ですよ! あの時だけの約束で祐麒くんには女装してもらったんですから!」
「支倉! あなた、また祐麒くんの女装、見たくないの?」
「そ、それは……見たい、ですけど」
 恥じらう姿がたまらなく可愛かった。
 もともと令は可愛いものが好きだが、自分には似合わないと諦めていた。本当であれば、絶対に似合う由乃に可愛い服を着てもらいたいのだが、由乃の好みではないので願いは聞いてくれない。
 だから、可愛い格好をしてくれた祐麒は堪らないものがあったのは確かで。でも、だからといって嫌がるのを無理にというのは違う気もするし。
「……今度は、ミニスカとかショーパンもあるみたいよ?」
「っ!?」
「祐麒くん童顔だし、ニーソとかも良いかもね」
「……っ!?」
「なんだったら、女装した祐麒くんを男装した支倉が押し倒すプレイとか想像してみたら?」
「……っ! っ!?」
「ふふっ、やっぱり支倉は私や麗と同族のようね。さ、もうここまできたら躊躇うこと無いわ、大丈夫、祐麒くんも大好きな支倉の為なら喜んでくれるわよ」
 駄目だ、こんな、自分の欲望に溺れるなんて駄目だ。
 そう思ってはいるものの、「とりあえず訊いてみるだけなら」などと考えている駄目な自分がいることも事実で。
「支倉も祐麒くんもバイト探しているって言っていたじゃない。由羅さんのとこなら怪しいところじゃないし、バイトを考えると思ってとりあえずもう一度今の状況を確認して、話だけでも聞いてみたら、ね」
 悪魔の囁きだ。
 だけど、だからこそ誘惑には抗いがたいわけで。
「……き、訊いてみるだけ、ですからね?」
 そう、言ってしまう令であった。

 

 祐麒と令が売れっ子モデルになるのは、これから遠い未来の話ではなかった。

 

 

おしまい

 

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