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SF 書評

【ブックレビュー】聖者の行進(著:アイザック・アシモフ)

更新日:

【作品情報】
 作品名:聖者の行進
 著者:アイザック・アシモフ
 ページ数:379
 ジャンル:SF
 出版社:東京創元社

 おススメ度 : ★★★★★★★★★☆
 ロボットものとしての面白さ度 : ★★★★★★★★☆☆
 こういう人におススメ! : とりあえず「バイセンテニアルマン」は皆読もう

 

■作品について

まだ実験段階にあった未熟なポジトロン頭脳が、およそロボット離れした才能をアンドリュウに付与した。
アンドリュウは独自の才能を発揮し、自ら収入を得るようになる。
そんな彼は次第に”人間”になることを渇望し始める。
立ちふさがる人とロボットの壁。
それに対して、彼がとった行動とは。

アシモフが送る傑作短編集。


■良かった点

アシモフといえばロボット三原則である。
この作品でも、そのロボット三原則も含めたロボットものの作品が幾つか収録されている。
その中でも白眉なのが「バイセンテニアルマン」である。

漫画「バーナード嬢曰く」で神林しおり嬢も絶賛していたが、まさに傑作にふさわしい一作である。
表題作となってもおかしくない出来上がりになっている。

ロボットのアンドリュウはもともと召使頭と小間使いの仕事をするためのロボットだった。
当初、実験用のロボットだったアンドリュウはある日、雇い主の家の娘のために木彫りのペンダントを作成した。
それは単なる模倣ではなく、芸術的な作品で、小間使いのロボットが作るようなものではなかった。
それを機に、アンドリュウは徐々に進化をしていく。
芸術作品を作って収入を得て、家族のように扱われ、やがてアンドリュウは思います。

自由が欲しい。

人間になりたい。

と。
そんな彼が決断したこととは。
人間になりたいロボットを描いた作品になりますが、その最終決断が凄い。
まさか、そのようなことを考え、決断に至るとは想像しなかった。
映画化される(アンドリューNDR114)のも分かる出来栄えで、この一作のために読んでも良いくらいの出来。

最後、切なくもあり、温かくもあり、なんともいえない余韻を残してくれる。

 

「篩い分け」

こういうピリッとした短編も好きです。
短い中にピリッとブラックのきいた感じは、星新一さんっぽさも感じられるかも。
地球の人類が増えすぎて食糧問題に直面している状況。
そんな中、人類をいわゆる「間引き」しようという計画が立ち上がる。
反対する科学者がとった行動とは?

実際に人口が増えている現在の地球においても、いつか起きておかしくな問題。
そして、為政者たちも考えそうな方策。
ブラックユーモアににやりとしつつ、本当に今、起きていても・・・・と思わせられる怖さもある。

 

「マルチバックの生涯とその時代」

コンピュータに支配されているような未来の地球。
超大型コンピュータ・マルチバックが法律家であり、警察であり、弁護士であり、検事である。
人々は、誰かの脅威になるような仕事はできず、何の害もない無意味なことだけ出来る、ある意味平和な状況。
そんな時代に人々は何を思い、どう行動するか。

未来のコンピュータと人間の関係を描いた一作として、これまたピリッとひねりのきいたオチ。
なんともいえない余韻を残す。
果たしてラストの後、人間たちはどのような世界を築いていくのかと想像するが、あまり良い未来が考えられない感じ。

上述の作品以外も、さすがといえるような短編が詰まっています。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

「バイセンテニアルマン」がやはり良すぎるので、それと比較すると他が・・・・というのがないわけではない。
むしろ、最後に読んだ方が良いかもしれない。
いやホント、それくらい。

 

 

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