ミステリー 書評

【ブックレビュー】見知らぬ乗客(著:パトリシア・ハイスミス)

更新日:

【作品情報】
 作品名:見知らぬ乗客
 著者:パトリシア・ハイスミス
 ページ数:432ページ
 ジャンル:ミステリー
 出版社:KADOKAWA

 おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 追いつめられ度 : ★★★★★★★★☆☆
 こういう人におススメ! : 巧みな心理描写を読むのが好き

 

■作品について

妻と離婚するため汽車に乗って移動していた若き建築家のガイ。
汽車の中で偶然出会ったチャールスに妻とのトラブルを話してしまうと、チャールスから驚くべき計画をもちかけられる。
自分がガイの妻、ミリアムを殺してやるから、かわりにガイには自分の父親を殺してほしいと。
即ち「交換殺人」である。
ここから、ガイの運命の歯車は狂い始める・・・・

■良かった点

たまたま出会った人物、もう二度と会うこともないだろうと思ったからこそ妻に対する恨み、憎しみを披露してしまう。
これはまさしく、ピーター・スワンソンの「そしてミランダを殺す」だ。
スワンソンがハイスミスを尊敬し、そして執筆した著の大元がほんさくになるわけである。

■関連レビュー
そしてミランダを殺す

ジャンルとしてミステリーに分類したが、サスペンスというかスリラーというか。
殺人としては謎も何もあったものではない。
お互い、接点のない人間を殺してしまうわけで、明確な目撃者や物証などを残さない限り、人間関係や恨みつらみで辿り着くのは困難なのだから。殺人手法も、とにかくあまり計画立てたわけでもない。

この作品の読みどころは、追いつめられていくガイの心理である。
まず、ミリアムが殺される。
それに対しチャールスが、「自分は殺した、さあ次はお前の番だ」とことあるごとに言ってくる。
ガイ本人は交換殺人などするつもりはなく、単に汽車で妻に対する憎しみを吐露してしまっただけなのに。
殺人をしないのなら、二人の約束を婚約者のアンに話すと脅される。

脅すといってもチャールスは暴力的にくるわけではなく、友人として接してきてガイの周囲にあらわれる。
建築家としての未来、アンとの結婚、明るいはずの将来が、チャールスによって狂わされていく。
どんどん心理的に追い詰められていくその変遷が辛く苦しい。

偏執的なチャールス、真面目ゆえに思い込み狂わされてゆくガイ。
そんな彼らの心理描写がとにかく秀逸。

追い込まれたガイが最後にとる行動。
なんとも悲しく切ないラストだ。
人の運命とはほんの少しのことで大きく狂わされる。そんなことを思い知らされる。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

しつこく絡み付いてくるチャールス・ブルーノー、怯えているガイ。
その描写がとにかく続くので、それがしつこく冗長と感じるかもしれない。
またミステリー的などんでん返しはなく、あくまで心理描写に重きを置いた作品だということは理解して読んだ方がよい。

 

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