http://bookmaria.com

当サイトはアフィリエイト広告を利用しています

ミステリー 書評

【ブックレビュー】方舟(著:夕木 春央)

更新日:

【作品情報】
 作品名:方舟
 著者:夕木 春央
 ページ数:304
 ジャンル:ミステリー
 出版社:講談社

 おススメ度 : ★★★★★★★☆☆☆
 どんでん返し度 : ★★★★★★★★☆☆
 こういう人におススメ! : 最後に衝撃を受けたい人

■作品について

大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。
翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。いずれ地下建築は水没する。
そんな矢先に殺人が起こった。
だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。生贄には、その犯人がなるべきだ。ーー犯人以外の全員が、そう思った。

タイムリミットまでおよそ1週間。それまでに、僕らは殺人犯を見つけなければならない。

■良かった点

話題になっているらしく、知人から情報を得て作品内容について興味を持ったので手に取ってみました。
クローズドサークルものであるけれど、設定を捻ってきている。
地下建築に閉じ込められた10人の男女。
脱出するには一人が中に残って犠牲になる必要がある。
そんな状況下で起きた殺人事件。
誰か一人を犠牲にする必要があるのなら、殺人犯を犠牲にすればよいのではないか?
生き残るための犯人探しが始まる・・・

単純に閉ざされた環境での殺人事件と犯人当てだけでなく、タイムリミットが迫る中での脱出ゲームでアリ、そのためのトロッコ問題である。
こういう状況下にあって自分ならどううごくか?
というのはちょっと考えるけれど、ずっち地下に閉じ込められている状況というのが辛いですね。。。

そして本作を読むと分かるのが、全てはラストを描くために作られた作品なんだなというところ。
各所でも言われていますけれど、やはり結末ですね。
なるほど、そうきたかー、というところ。
よく本の帯やキャッチコピーで大げさに書かれている作品もありますが、本作に関しては確かにラストの展開は驚かされるかも?

救いのない、こういう終わり方が好きな人にはたまらないだろう。
殺人の謎解きに関してはロジカルに展開していく。
一部、納得いきづらい点もあったけれど、まあそこはそういうもんかと思うことにした。

文章自体は大きな癖はなく、さらさらと読み進められる。
ただ人物描写が平坦なので、誰が誰だかイマイチなところもある(特に女性陣)

犯人のイカれ思考というかサイコパスっぷりは、なかなか良いものでした(苦笑)
だからこその、あの展開なのですけれどね。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

ラストは確かにやってくれた、という感じなんですが、それが故にラストに至るまでの設定や物語進行にはツッコミどころが多いというか。。。
作品を評価するにあたり、ある意味でラスト以外の部分をどう受け取るか次第なのかな、という気もします。

少しネタバレ気味の感想にもなるので改行します。
感想見ると、何人かの方も言われていますが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

最初から犠牲者アリの考えで行動するのはなんでかなと。
一週間という猶予があるのであれば、とっとと脱出できる人で抜け出して助けを呼びに行こうよと。
まあ確かに一人残される方は嫌だろうけれど、全員助かる方策にいかないのか。
山道で行く手をふさがれて助けを呼びに行けないリスクを考えたのか?
だからってずっと地下に残る方を選ぶものなのか。
まあ、ある意味で現状維持で思考放棄するというのは、人間らしいっちゃあらしいのかもしれないけれど。
私自身、同じ立場で一人残りますとは言えるとは言えない。でも、何かしらで決めて行くだろ。地下には水も食料もあるわけだし。

犯人だけが見つけた問題点があったとしても同じ。
というか、残量の少ない空気ボンベを抱え、正規の装備もなく、真っ暗で地理もわからずどのような障害物があるかも分からない冷たい水の中を、一人で非常口まで出ていけると思うものだろうか。
よしんばいけたとして、水没している中で非常口の扉、開けられるのか?
犯人の行動も正直、勝算が高いとは思えない。
ならば二人バディを組んで決死の脱出を図って助けを呼びに行く方が全体の助かる可能性は高そうと思う。

まあ、あの状況じゃそんな思考ができる余裕もない、というのも分かるけれど。
あと殺人が起き、凄惨な死体があるのに、皆ふつうですね・・・

こういうところを気にしてしまう人は、ラストの展開があっても評価が上がらないんだろうなぁ。
私自身も微妙な感じ。
ラストも、ロジックも何もなく、なんとなくこの展開で行くと実は残る一人だけが逆に助かるのでは?
とか思っちゃう感じでした(犯人もやけに落ち着いていたし)

あと、矢崎一家って必要だったのか・・・?
まあ、部外者がいた方が疑心暗鬼になりやすいからなのかもだけど。

 

応援クリックいただけると幸いです。
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

アドセンス1

スポンサーリンク

アドセンス1

スポンサーリンク

fam8インフィード広告2×4+5連

-ミステリー, 書評
-, , , ,

Copyright© マリア様の愛読書 , 2024 All Rights Reserved Powered by AFFINGER4.