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ミステリー 書評

【ブックレビュー】あの子の殺人計画(著:天祢涼)

更新日:

【作品情報】
 作品名:あの子の殺人計画
 著者:天祢 涼
 ページ数:276
 ジャンル:ミステリー
 出版社:文藝春秋

 おススメ度 : ★★★★★★★★☆☆
 虐待される子供に辛くなる度 : ★★★★★★★★☆☆
 こういう人におススメ! : 社会派ミステリーで色々考えさせられるのが好き

 

■作品について

小学五年生の女の子、椎名きさら。
彼女の家は母子家庭であり貧しい生活を余儀なくされている。
さらに彼女は母親から<水責めの刑>などで厳しく躾けられている。
だけどある日、同級生の男の子翔太や保健室の養護教諭から虐待を受けているのではないかと言われ、戸惑うきさら。

一方、JR川崎駅近くの路上で、大手風俗店のオーナー・遠山が殺害され、その容疑者の一人としてかつてその付属店で働いていたきさらの母、椎名綺羅に容疑がかかる。
刑事の真壁、そして女性捜査員・仲田蛍は椎名母娘の真実に迫る。

「希望が死んだ夜に」に続き、子供の貧困、子供の虐待を描いた社会派ミステリー。

■良かった点

続編というとちょっと違うかもしれませんが、真壁や仲田など「希望が死んだ夜に」と世界観は続いている。
その前作において、貧困家庭について描き、とても悲しく切なくなる名作を届けてくれた筆者。
さすがにあれを超える作品を描くのは難しいだろうと思っていたのですが、今作も引けを取らず読ませてくれます。

今回も貧困家庭ではありますが、前作ほどではないし、そこが焦点でもない。
「児童虐待」
それでもやっぱりテーマは重い。
幼く、抵抗することも出来ない子供に対する虐待ですからね、読んでいても辛くなる。
しかも、少女・きさらはなんだかんだいって母親が大好き。
だから、酷い目にあうのは自分が悪いからだ、これはあくまで躾で母親は悪くないんだと思っている。
小さい頃からそれが普通だと育てられたら、刷り込まれてしまうんでしょうね。

学校で、他の子達と明らかに異なる言動をする。
でも、それがきさらにとっては今まで生きてきたリアルであり、他の子達の方が変に見えてしまう。
先生は頼りにならない、他の子達にはいじめられる、大人はちゃんと見てくれない。
ああ、もうなぁ。。。

児童虐待をとりあげつつ、ミステリーとしてもみせてくれます。
風俗店のオーナーの殺人事件。
椎名綺羅はかつて、その風俗店で働いていたことがある。
でも彼女には、事件当時に娘と一緒にいたという鉄板のアリバイがある。
鍵を握るのは当然、娘のきさら。
真壁と仲田は、児童虐待の線からも、彼女に迫っていく。

殺人に関してはトリック云々というものではなく、なぜその殺人に至ってしまったのか。
動機であり、殺人せざるをえなかった背景こそが問題で、真実を知るとこれまたやるせなく、切なくなる。
たった一人でいい。
誰かが彼女の側にいて、彼女のことをちゃんと見てくれていれば、こんなことにはならなかったかもしれないのに。

社会派ミステリーとしてまた一作、読ませてくれる作品が誕生した。

■ここが改善できるともっとよかったかも?

個人的な好みでいえば「希望が死んだ夜に」の方がやっぱり好き。
あの切なさには勝てない・・・

ただ、トリックというか、事件の真相の見せ方はこっちも良い。
というか真相がわかったときに思い浮かんだのは、某ゲーム作品でした。
だって!

以下、ネタバレ(そのゲーム作品名)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Ever17」か!

 

 

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