祐麒とのデートをした日の夜。
アルコールのせいもあるが、美月はとんでもないことを妄想していた。
「仲良く、かぁ。ということは、母娘丼コースってことかしら」
娘の可南子と、母親の美月。
二人同時。
普通に考えれば、美月なんてなしだ。
バツイチの三十代子持ちと高校生男子。
仮に祐麒が高校、大学を卒業して社会人になるまで待ったら立派なアラフォーだ。
あえて高校生を選ぶメリットなどない。
美月の若さであればまだいくらでも男性など選ぶことが出来る。バツイチだって珍しいものではないし、新たな恋愛を求めたって問題はない。
だというのに。
「ああ~っ、祐麒くん、可愛いなあもうっ!」
枕に顔を押し付けて唸る。
お酒の勢いでホテルに誘ってはみたものの、見事に断られた。
だけど、振られたわけじゃあない。
肉体だけの関係になりたくない、という祐麒のあの言葉。単にあの場を逃げるだけなら他にも言いようはあっただろうに、あんな青臭いことを真剣な表情で告げられては、美月もそれ以上強引に誘うことも出来なかった。
あの手のことで嘘を言うような子ではない。
美月にもそれは分かる。
「ああもう、キスだけじゃ物足りない……」
かれこれ何年も、男性に抱かれていない。
仕事と育児に忙しくて、それでも特に問題はなかったけれど、急速に『女』が自らの中で大きくなっていくと祐麒に告げたのは、間違いなく真実だった。
「……あ、ヤバい、これ……」
手が自然とスカートの中に入っていた。
もう片方の手は、胸に。
こんな行為も、今までずっとしていなかったのに。
久しぶりのことが、まさか高校生男子のことを考えながらなんて。
ねえ可南子、本当に、私と仲良く、祐麒くんに愛されてもいいの?
そんなことを考えながら、美月は数年ぶりの行為に没頭するのであった。
おしまい