「清子」 一覧

  ～　動悸　～     　昨夜の記憶がおぼろげだった。 　何やら清子にとんでもないことを口走ったような気もするが、明確には覚えていない。遅い朝食の場に清子はおらず、アン ...

  ～　こんな関係　～     　小笠原家に仕える者達の朝は早い。まだ日が昇る前から動き出す者達も少なくなく、使用人の中で最も下っ端であり若い祐麒は、誰よりも先に働き出さ ...

  ～　可愛い　～     　お盆の時期。 　夏真っ盛りの中、祐麒は小笠原家を訪れていた。 　この時期、家の主人である融は避暑という名目で愛人とともに出かけてしまう。使用 ...

～　夏の奔流　～ ＜後編＞   「うぅわぁ、映画なんてスゲー久しぶりに観た。映画館なんて、多分小学生のガキの頃以来だぜ」 　シネコンから外に出て、凝り固まった体をほぐすかのように大きく伸びを ...

～　夏の奔流　～ ＜前編＞   　夏休みに入ってからは忙しなくなっていた。 　何がといえば、色々と隙を見つけては小笠原家に行くようにしていたから。 　学校がある平日は行くことなど出来ない。夜 ...

～　じゃじゃ馬ならし？　～   「……おい、どういうことなんだよ」 　獲物を狙うかのような鋭い眼光が正面から見据えてきて、思わずちびりそうになる。比喩ではなく、本気で。 「ど、どういうことと ...

～　お気に召すままに　～   　胸に手を置き、鼓動の速さを確かめる。普段よりもわずかに、いや、結構速くなっている気がするが、爆発してしまうほどではない。 　軽く咳払いをして喉の調子を整え、台 ...

～　から騒ぎ　～     　街で清子に出会ったのは、本当にただの偶然だった。 　"あの"　小笠原家でのお泊まりをしてから既に半年ほどが過ぎ去っていて、あの夜のことはまさに夢だったの ...

～　真冬の夜の夢　～   　柏木優に連れられてやってきた小笠原家。その場に祐巳までいることには驚いたけれど、なんとなく、なぜ柏木や、あるいは佐藤聖が祐麒と祐巳を引き連れて小笠原家にやってきた ...