書評と主にマリア様がみてるの二次創作(旧:よしのXブレード)

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【マリみてSS(乃梨子×色々)】 雛鳥たちの囀る季節 4.ネイティブダンス

更新日:

 

~ ネイティブダンス ~

 

 

 夜の繁華街、似合わない場所に来てしまったと乃梨子は少し後悔していた。大学の友人に誘われた合コン、前にちょっと借りを作ってしまった相手だったので断り切れず参加したが、やっぱり空気がなじまない。途中から隣に座った男がしつこくアドレスを聞き出そうとしてくるし、ちょいちょい体に触れてくるし、ムカつくし気持ち悪いしで最悪だった。
 それでもどうにか一次会を我慢して過ごし、愛想笑いで男を振り切って二次会に向かう輪から逃げ出した。
 追いかけてきそうな素振りを見せて不安だったが、どうやらそこまではしてこなかったようで一安心。義理は果たしたし、さっさと帰宅しようと足を速めるのだが、それが失敗だった。
 人の多い中で足早に歩いていたせいか、途中で人と肩がぶつかってしまった。頭を下げて謝り、そのまま去ろうとしたのだが相手が離してくれなかった。
「いいじゃない、一人なんでしょ? 遊びに行こうよ」
「いい店、知っているんだ」
 目の前に、乃梨子より少し年上らしき男が二人。そのうちの一人にぶつかってしまったわけだが、どうやら乃梨子の容姿に目がとまり、ぶつかったことを持ってきてナンパしにかかってきている。
 断っているのだが、しつこく食い下がってきて離れようとしない。強引にでも逃げたいところだが、背後は店、横にはその店の看板、そして男二人に目の前を塞がれては難しそうだ。
 更に悪いことに、目の前の男たちは暴力的なことも辞さないタイプに見える。今はにこやかな笑みで見つめてきているし穏やかな態度だが、逃げ道の塞ぎ方とか、粘りつくような喋り方とか、とにかく嫌な感じしかしない。
 さて、どのようにして切り抜けようかと考えている間にも、相手の二人は迫ってくる。
「とりあえずさ、ちょっとだけでもいいから」
「あの、ですね」
「大丈夫、心配しないで」
 何をどうしたら安心できるのだと思う乃梨子の手首を、男の片割れが掴む。怖気がして、強引にでも振りほどこうとしたその時、横から伸びてきた手が男の腕を掴んだ。

「すみませーん、おたくら、人の彼女に対して何してるんすか?」
「えっ……?」
「なんだ、この優男?」
 意表をつかれたのか男の手の力が緩み、乃梨子は慌てて腕を解いた。その間も、目は闖入者から離れない。
「え、のぞ、み……?」
 確かに希海であるが、ジャケットとパンツという組み合わせの格好で、見た目的には男に見える。
 乃梨子の呟きを無視してさりげなく男たちとの間に入り込み、乃梨子の肩を親しげに抱いてくる。
「ごめん亜里沙、待たせちゃって」
「ありさ……っ、て、そうよ、"のぞむ"、遅いじゃない! おかげで声かけられちゃって」
「悪いって。とゆーことでさ、悪いんだけど、行かせてもらいます」
 へらへら笑いながら頭を下げる希海。乃梨子は希海の腕にしがみつきながら、男たちと目を合わさないようにして歩く。
「……ちぇっ、なんだよ、男いるならさっさと言えっての」
 そんな呟きが聞こえてきたが、どうやら諦めてくれたようでホッとする。
「危ないところだったね~、うまいこといってよかった」
 しばらく歩いたところで、希海が口を開く。
「ふぅ、ありがと、お礼は言っておくわ。それにしても、その格好は何よ」
「何って、こんな格好していたから助かったんじゃン」
 格好だけでなく、髪型とかも含めて男のようになっている。サマになっているところを見ると、普段からこの手の格好もしているのだろう。
「一人で歩くときは、こういう方が面倒無くてね。それより乃梨子さ、助けてあげたんだから、ちょっとお礼がてらこの後つきあってくれない?」
「え? 何よ……そりゃまあ、確かに助けてもらったけれど」
 少し警戒するように希海を見る乃梨子。
 その乃梨子の腕を掴み、ずんずんと歩いて行く希海。
「そんなに怯えなくても、変な所じゃないから」
「お、怯えてなんかないってば」
 負けず嫌いな所もあり、そう口にすると引き返すことは出来なくなった。仕方なく、希海に手を引かれるままについていくと、やがて何やら変な店の入り口に辿り着く。言いたいことはあったが、希海が当たり前のように入っていくので乃梨子も黙ってついていく。
 そして辿り着いた場所は、いわゆるディスコ・クラブといわれる場所だった。
 熱気の溢れるダンスフロア、自在に曲を操るDJとそのブース、落ち着いたバーテンの鎮座するバーカウンター、男女、あるいは女子同士が酒を酌み交わしている席、どこを見ても乃梨子にとっては初めてのものばかり。
「ちょっ……こんなところ、私、場違いじゃない?」
 合コンに出席していたものの、気合いなんて入っていないからいつもとたいして変わらない服装だ。入店の際に特に何も言われなかったから、ドレスコード的にまずいことはないのだろうが、他の客と比べてみるとちょっと違う気がする。
「うーん、そうねぇ。それじゃあ、着替えてもらおうか」
「え? ちょ……え、えっ!?」
 と、戸惑う乃梨子をよそに希海は近くにいた黒服に何やら話しかけたあと、乃梨子をつれて店の奥の方へと歩いてゆく。
 そうして。

「おー、素敵、乃梨子! 綺麗!」
「な、なんなのよ、一体……」
 半ば無理やりに着替えさせられた乃梨子は、スパンコールのちりばめられたブラックのベアトップに臍出し、レザーショートパンツにレーススカートという、やたら露出度の高い格好にさせられていた。
「凄くいいよ! ほら、一緒に踊ろう」
「ちょっと、私、ダンスなんて……っ」
 手を引っ張られてダンスフロアに足を踏み入れさせられる。
 DJの手による軽快な音楽にあわせ、思いのままに踊っている男と女。誰も皆、楽しそうでエネルギッシュに動き、声をだし、笑っている。
「適当でいいからさ、ねっ」
 希海に言われるものの、よくわからない。
 それでもしばらくすると、周囲の人の動きなんかを見て体を動かし始める。一人で動かずにいる方が場違いだし、音楽にあわせて動いていると場のせいもあるかもしれないが、少しずつ楽しいような気にもなってくる。
 他に知っている顔などいないし、こうなったらやけくそだと思い、それでも完全には思いきることが出来ない感じで踊る。
「いいね乃梨子、可愛い」
「馬鹿、うるさいっ」
 大音響の中では近くにいてもお互いの声は良く聞こえない。それでも希海の表情から、馬鹿にされていると思ってそんな風に返した。大きな声を出す、それだけでも気分はスカッとするものだ。
 そうしていつしか、慣れないながら乃梨子も踊りに熱中していった。

「……ふぅ」
 座席に腰を下ろしてドリンクを口に運び、汗を拭う。
 さすがに慣れないせいか疲れを覚え、こうして一人で休憩をとっている。希海はいまだパワフルに踊っている。
 冷たいドリンクを流し込むと火照った体には心地よいが、アルコールのためまた熱くなってくる。肘掛を使って頬杖をつき、ちびちびと飲みながらダンスフロアに目をうつせば、人ごみの中でも希海の姿を見つけ出せる。乃梨子から見える位置で踊っているというのもあるだろうが、生き生きと輝いて見えるから、大勢の人の中で埋もれないようにも思える。
 踊る希海の姿は格好いい。思わず、声もなく見惚れてしまうほどに。
 じっと見つめていると、やがて希海も疲れたのかダンスフロアから降りて乃梨子の座っている場所にやってきた。空いている乃梨子の隣に無造作に座り、乃梨子のむき出しになっている肩をごく自然に抱いて顔を寄せる。
「乃梨子、あたしの踊る姿、ずっと見ていたでしょ? 踊っていても熱い視線をビンビン感じて、力入っちゃった。へへ、惚れた?」
「なっ……ばっかじゃないの!?」
 逃げようとしたが、肩に手を回されていて体を離せない。むしろ、間近から希海に迫られて慌てる。
 汗で肌は光り、髪の毛も乱れ、僅かに呼吸も荒いが、それがなんともいえない色気を醸し出している。
 頬が熱くなる。
 先ほど希海に「惚れた?」と言われたとき、自分でも良く分からないほど動揺した。
 馬鹿な。こんなナリをしていようと、相手は女だ。
「ふふ、色っぽい乃梨子、良いね」
 身をすくませている乃梨子を見て悪戯っぽく笑った希海は、ベアトップによって強調された胸の谷間に人差し指を差し込んだ。
「なっ…………!?」
 かあっと、顔に熱が上る。
 希海は素早く指を抜き出すと、舌を出して指先を舐めた。
「ふふ、乃梨子の汗の味がする」
「な、な、な」
 希海の指が触れた胸の部分から、くすぐったいような感覚が上がってくる。
「ちょっと希海、何をいきなり」
「――っと、きたきた。行こう、乃梨子」
「え、ちょ、何」
 またしても勝手に乃梨子を引っ張っていく希海。
 ダンスフロアに到着すると、いつしか音楽はメロディアスなものに変わっていた。
「チークタイムだよ。知ってる?」
「え、よく分かんない。なに?」
「乃梨子が着替えている間にね、頼んでおいたんだ。今日はこの時間を設けてくれるようにって。皆、知らないかな?」
 ムーディな曲に戸惑っている客も多いが、DJが何やらアナウンスして説明している。
「チークだよ。こうして、男女で寄り添って踊るんだ。知らなくたっていい、適当に体を揺らしていればいいんだ。本当の目的は、男も女も意中の相手と踊ることだから」
「え、でも希海は女じゃない」
「いいから」
 希海に抱き寄せられる。
 周囲を見れば、いつしか他の客も男女カップルになって寄り添って踊っている。戸惑いつつも、慣れない踊りに楽しんでもいるようだ。
「……希海は、よく来ているみたいね、こういう場所。昔から?」
「違うよ。あたし、これでもお嬢様でね、高校までは温室で厳しく育てられてさ。毎日、お勉強とお稽古事に忙殺されて、自分の自由な時間なんてもてなかった。大学入って、親元から逃げ出して、大学デビュー。それまでの反動か、見事にこんな感じ」
「――――嘘? 本当?」
「本当。ふふっ」
 ゆらゆらと揺れるよう、希海にリードされて踊る。
 肩を撫でてくる希海の指がこそばゆい。
「ねえ、乃梨子。ちょっと、大胆になってみない?」
「え? 何が……って、え、の、希海?」
 希海はぐっと乃梨子を力強く抱き寄せると、胸を押しつけてきた。ブラウスの下にはシャツを着ているようだが、下着は身に付けていないらしく胸の柔らかさが伝わってくる。
「乃梨子の胸も、やらかいね」
「え、え、や、やだちょっ……」
 ぐいぐいと押されると、ベアトップで強調された胸の谷間が揺れる。  首筋を撫で、肩甲骨に触れる希海の指に震える。更に、腰にまわされていた手がいつしか下がり、お尻を撫でている。
「ど、どこ触っているのよっ」
「照れちゃって、可愛いなぁ、乃梨子は」
 突き飛ばしてでも逃げれば良いのだが、体に力が入らない。希海の手は、ちょっと変な個所に悪戯して触れてきたかと思うと、すぐにまた逃げてゆく。胸だけでなく、女性特有の柔らかさが乃梨子を包み込む。
 結局、離れることなくチークタイムが終わる。
 音楽が終了したところで、ようやくほっと一息ついた乃梨子だったが。
「――素敵だったよ、乃梨子」
 耳元で囁いた希海が、お臍から横腹を撫でながら熱くなった頬に唇を付けてきた。
「な――――っ!?」
 慌てて頬を手でおさえ、顔をあげると。
 満面の笑みで乃梨子を見つめる希海と目が合い。
「っ!」
 なぜか赤面して目をそらしてしまう乃梨子なのであった。

 

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