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ノーマルCP マリア様がみてる 江利子 蓉子

【マリみてSS(蓉子×聖×江利子×祐麒)】また、始まる

更新日:

~また、始まる~

 

 4月からはとうとう大学生活が始まる。新たな生活に向けて、俺は着々と準備を進められて……いなかった。
 まだまだ時間もあるし大丈夫、などと思っているうちに時間は過ぎて、うかうかしているうちに、『その日』の前日になってしまった。さすがに今日は頑張らねばと思ってはいたのだが、なかなか思うようには進まないうちに午後になってしまった。
 昼飯を食べ、一服してから本気を出してやろうと思っていると、玄関の呼び鈴が鳴った。祐巳がパタパタとスリッパを鳴らして玄関に向かうのを、なんとはなしに見送る。
 やがて。
「えええええーーーーーーーーーっ!!!!」
 という、祐巳の絶叫ともいえる声が轟いてきた。
 何事か、まさか変質者でもやってきたのかと思い、慌てて立ち上がり、玄関に向かって駆け出す。
「大丈夫か、祐巳っ!?」
「なっ、ななっ、ななん」
「下がれ祐巳、ここは俺……が……」
 飛び出し、祐巳を背後に庇うようにして身構え、玄関先を睨みつけると。
「え、え、何で」
 俺も、目を丸くした。
 後ろから、祐巳がひょっこり顔を出す。
「なんで、蓉子さまと聖さまと江利子さまが、うちにっ!?」
 そう、そこに立っていたのは、祐巳が名前を口にした通りの三人だった。三人とも実に気さくな格好だが、元が美少女なだけに存在だけで華やかである。
「ごきげんよう、祐麒くん、祐巳ちゃん」
「やっほー、祐麒、祐巳ちゃんは久しぶり~」
「あら祐麒くん、祐巳ちゃんに対しては優しいのね」
 三人三様の挨拶をしてくる。祐巳は口を開きながら、声もなくただ頷くだけ。
「えーっと、あの、三人そろって、今日はうちにどのような御用で」
 驚きながらも、用向きを尋ねる祐巳。
「祐麒くんが苦労しているだろうって、手伝いにね」
「どーせ祐麒のことだから、まだロクに準備できていないんでしょう?」
「え、え、どどどどーゆうことなの、祐麒?」
 江利子と聖の言葉に、三人と俺に交互に視線を向けてくる祐巳。頭の中はクエスチョンマークでいっぱいになっていることだろう。
 すると今度は、三人の方が少し驚いたように顔を見合わせる。
「えーっと、祐巳ちゃんは知らないのかしら……?」
「な、何をですか?」
「祐麒が、あたしと蓉子と江利子に、三股かけているってこと」
「はぁ、三股……って……ええええええーーーーーっ!?」
 またしても叫ぶ祐巳。
 いい加減、近隣から迷惑の声があがるかもしれない。
「ゆゆゆ祐麒っ、三股って一体あんた、どーゆうことなのよっ、え、この!」
「はぐっ! おま、ボディは危険っ……」
 綺麗にボディブローがはいって、思わず顔をしかめる。
 さらにシャツの襟をつかみ、グイグイと締め上げてくる。
「祐麒あんた、なんてろくでなしなの、そんなとんでもないことをしていたなんてっ」
「まあまあ祐巳ちゃん、あたし達みんな、知ってて納得しているんだから」
「とゆうか、誰が祐麒くんを射止めるか、競争中なの」
 怒る祐巳を聖が取り押さえ、江利子がウィンクして見せる。
 信じられないといった感じで祐巳は蓉子を見るが、蓉子が恥ずかしそうにしながらも頷くのを目にして、頭を抱えた。
「えええ、嘘、なんでですか? こんな祐麒なんかに、皆さんのような素敵な方が、そんなのおかしいですよ」
「……お前、実の弟に向かって酷いな」
「だって、本当のことじゃない」
 まあ確かに、祐巳の言うことは否定できない。
 実際俺だって、こんな美人で、スタイルが良くて、性格も良くて(?)、男の多くが羨むような美少女に好意を寄せられているなんて、信じられない。しかも、一人ではなく三人もである。
「あー、分かった。祐巳ちゃんたら、大好きな弟さんを私達にとられて、悔しいんでしょう? ただでさえ引っ越しちゃうから寂しいものねぇ」
「ふえっ?」
 祐巳をからかうように、江利子がロクでもないことを言ってきた。祐巳はと言えば、そのからかいをまともに受けてか、取り乱す。
「なっ、なななっ、何を言っているんですか。わ、私が祐麒になんて、そ、そんなことあるわけないじゃないですかっ」
 顔を真っ赤にして、必死に弁明している。
「落ち着け祐巳、冗談に決まっているだろ」
「え、あ、そ、そうだよねっ、ははっ」
 俺が突っ込みを入れることで、ようやく祐巳は我に返ったようだった。
 そんな祐巳を目にして、他の三人は何やら小声で話し合っている。
「……今の祐巳ちゃんの反応、やっぱり本当に……?」
「聖の言っていたことは正しかったようね。強敵と切り離せて正解ね」
「本当、まさかとは思っていたけれど……」
 何か不穏な空気を感じる。
「まあいいか、その懸念も明日で払拭されるわけだし、さっさと手伝っちゃおう」
「そうね」
「お邪魔しまーす」
「って、うわ、ちょっと皆さん?」
 家の中に上がる三人の背中を、俺はため息をつきながら見送っていた。

 三人がやってきたのは、俺の引っ越し準備を手伝うためだった。大学入学に伴い、俺は家を出ることにした。通学するには少し家が遠すぎるということと、他にも幾つか理由があってのことである。
 で、明日が引っ越し当日だというのに、いまだに準備ができていなかったところ、察した三人がやってきたというわけである。
「さーって、ぱっぱとやっちゃおうかー」
「へー、ここが祐麒くんの部屋なんだ」
「な、なんだか緊張しちゃうわね」
 それぞれ気合いを入れて俺の部屋の中の物に向き合う。
 気さくな服装でやってきたのは、引っ越しの手伝いで多少は汚れてもいいように、ということなのだろう。
「えーと、どうする、全部持っていくの?」
「さすがにそれはないでしょう。ねえ祐麒くん、持っていくものは決まってる?」
「え? あ、はい、一応大体は」
 俺が持っていこうと予定しているものを教えると、三人はてきぱきと取りまとめ、段ボールに詰めていく。俺の物だというのに、俺が手をさしはさむ余地がない。むしろ狭い部屋、邪魔だからとベッドの上に追いやられた。
 こうしていると、ベッドの上で一人偉そうにして、三人の女の子を働かせているみたいで凄く感じが悪い気がするが、蓉子たちは気にする様子もなく、荷造りを進めていく。
 そうして、やがて。
「おっ……これは」
「どうしたの、聖……あ」
「ちょっと二人とも、さぼってないで……」
 三人の動きが止まった。
 どうしたのかと思って、ふと覗き込んでみると。
「ほら、この女優さん私に似ているじゃない。やっぱり私のことが一番なのよ」
「いやいや、ほら、このハーフっぽい娘とかも多いし、これはあたしでしょう」
「あわわ……やだ、こんな……あ、でもお姉さん特集とか多い」
 いつの間に見つけたのか、エロ本とエロDVDを興味津々と検分していた。
「って、うわーーーーーーーっ!?」
「うるさいよ祐麒ー」
「もう、祐麒くんたら。言ってくれたこんな本やビデオじゃなくて、私がしてあげたのに」
「え、江利子、何を言っているのよ!?」
「あら、じゃあ蓉子はしてあげないの?」
「えっ……そ、それは、その、あと、えと」
「あれっ、なんだかこの手のものが多いような」
「何々、どれどれ……黒髪ストレート……眼鏡っ娘……」
「だあああああっ、もう、やめてくださいってばー!」
「……この私似の奴以外は没収ね」
「あと、このハーフっぽい娘の」
「とりあえず妹系とかいうのは全て廃棄しましょう」
「もう、許してくださーーーーーーいっ!!」
 泣きそうだった。
 手伝いが始まった時点で予測しておくべきことだったのに、迂闊すぎた。巧妙に隠してあるから見つからないだろう、という油断もあった。この三人に、そうそう通じるわけもないのに。
 そんなこんなで、途中で色々と寄り道しながらも、着々と準備は進んで行った。

 

 夕食時は針のむしろであった。
 手伝ってくれた三人も是非夕食を、という母の一言に、喜んで頷く三人。しかもそれだけでなく、率先して手伝うものだから、母も祐巳慌てることこの上ない。
 ただでさえ元三薔薇様ということで、母も祐巳も恐縮しているのだ。特に母は、息子である俺が三人の元三薔薇様に求愛を受けているということが信じられず、かなり上の空であった。
 しかも食事の最中にうっかり、「で、どなたが本命なの?」なんて聞くものだから、あやうく修羅場になりかけるところであった。
 危険な食事を終え、三人も帰宅し、夜を過ごして朝になる。
 時間になると引っ越し業者がやってきて、昨晩に荷造りした段ボールを次々とトラックに運び入れていく。
 荷造りするのは時間がかかったのに、トラックに運び込むのはその何分の一も時間がかからなかった。
 全てが運ばれてトラックが走り出すと、今度は俺も引っ越し先のマンションへと向かう。
 俺の隣には、なぜか祐巳がいる。
 別にいいといったのに、荷解きを手伝うと言ってきかないのだ。無理やり置いていくことも出来ず、仕方なくついてくるに任せる。どうせ、いずれは教えることになるわけだし。
 電車に揺られ、目的地を目指す。
 場所は、大学から30分ほどの場所にある駅で、駅からは徒歩7分。駅の周辺はそこそこ栄えているが、少し離れると住宅街になり、住みやすそうな場所である。
「へー、このマンションなんだ。なんか、随分と立派だね」
「ああ、まあ、うん」
 感嘆の声を漏らす祐巳に曖昧な返事を返しながら、オートロックを開いてマンション内に入る。マンションの前に引っ越しのトラックはなかったので、どうやら先回りできたようであった。
 エレベーターで4階にあがり、部屋の前に立つ。
 ドアの前で深呼吸、ここから俺の新たな人生が始まるのだ。
「何、緊張しているのよ、早く開けようよ」
「あ、おい」
「あれ、鍵、開いているよ?」
 ドアに手を伸ばした祐巳が首を傾げつつも引っ張ると、あっさりと開いた。
「でもさあ、このマンション立派だよねぇ。ここ、本当に一人暮らし用?」
「あ~~、いや、その」
 と、言葉を濁していると。
「お帰りなさい……あらっ、祐巳ちゃん」
「ふぇっ、え、江利子さまっ!?」
 中から姿を現したのは、江利子だった。
「あら祐巳ちゃん、どうしたの?」
「何々、祐巳ちゃんが来たの?」
 さらに蓉子、聖が続いて登場してきて、祐巳は昨日に続いて目をぱちくりさせることしかできない。
「え、あの、なんでまた蓉子さまたちがこちらに? こ、此処は祐麒の部屋なんじゃ」
「そうだよ。あれ、もしかして祐麒、まさか言ってないの? あたしたちとルームシェアするっていうこと」
「る、るーむしぇあ?」
「そうそう、ここ4LDKなんでね、一人一部屋、で、家賃を割り勘と」
 あっけらかんと言い放つ聖に、祐巳は呆然としているようだ。
 もちろん、親にはルームシェアだということは言っているが、シェアする相手が三人とも女性で、しかも元三薔薇様の三人だということは伝えていない。
 伝えたらどんなことになるか分からないし、反対されたかもしれない。しかし、三人とルームシェアをすることは前々から約束させられており、今更翻したりしたら、どんな目にあうか分からないので実現せねばならない課題だった。
 ルームシェアを始めてしまえば、辞めろともいえないだろう。
「ちょっと、本気なんですか、蓉子さまっ!?」
「う、うん。そうよ」
 少し恥ずかしそうにしながらも、きちんと頷いて肯定してみせる蓉子。祐巳は何かを言おうとしたようだが、その前に部屋のインターフォンが鳴った。どうやら引っ越しのトラックが到着したようである。
「それじゃあ、手分けして部屋のセッティングしましょうか」
「そうね、さっさと済ませちゃいましょう」
「ええっ、ちょ、ちょっと江利子さま、聖さまっ」
 おたおたとしている祐巳を置いて、てきぱきと動き始める蓉子たち三人。さすがに人数もいるので、荷物が運び込まれてからの荷解き、俺の部屋のセッティングもサクサクと進んでいく。
 事前に部屋は見せてもらっていたし、家具の配置なんかも考えて伝えていたので、有能な三人が間違えるわけもなく、むしろ俺が最初に考えていたよりも良い感じの部屋になっていく。
 とはいうものの、さすがに全てを出して並び終えるというところまでは行かない。それでも、既に三人が住んでいるわけで、生活するうえで困るようなことはない。
 マンション全体の間取りは、玄関から入ると向かって左に廊下がのびている。左側にトイレを見ながら進んで正面に一部屋、右にLDKに続く扉、左に曲がって廊下はまだ続いている。曲がった廊下を進んで行くと、左側には洗面室と浴室、右側にもう一部屋あり、廊下の最奥部に主寝室。LDKに入ると、続きで和室がある。他は全て洋室だ。
「しかし、俺が一番広い主寝室を使うのって、悪くないですか?」
 主寝室と位置付けられているだけあって、部屋の中では一番広いし、ウォークインクローゼットも大きいしで、申し訳ないと思う。
 ちなみに俺の隣の部屋が蓉子、もう一つの洋室が聖、和室が江利子という部屋割りになっている。
「和室は鍵かからないから、いつでも入ってきてねー、祐麒くん」
「あ、あたしも別に部屋の鍵かけないから、同じことだし」
「二人とも、はしたないわよっ」
「えー、じゃあ蓉子は鍵かけて、祐麒を閉め出すの?」
「そっ、そういうわけじゃ、ないけれど……」
 もじもじとしながら言う蓉子。
 別に、夜中に忍び込んだりなんかするつもりはない。いや、ヘタレとか言わないで欲しい。ルームシェアにおいて、この手のことは重要なはず。
 あーだこーだと騒ぎながら引っ越しして、蓉子たちの手料理を食べて、驚きに包まれたままに祐巳が帰宅し、四人の夜になる。
 引っ越しで色々と疲労していたということもあり、三人の厚意に甘えて先にシャワーを使わせてもらい、早々に自室に入る。
 セッティングされたベッドに横になり、天井を見上げ、本当に全く違う場所に来たのだなと実感する。
 シャワーで暖まった体、柔らかなベッドの感触、これだけでもう寝てしまうには十分すぎるほどである。目を閉じると、途端にうつらうつらとしてくる。このまま眠ってしまっても良いかと、意識がフェードアウトしていく。
 新しい場所での新しい生活に心を躍らせながら、俺は眠りに落ちていった。

 

…………

 …………

…………

 なんとなく、目が覚めた。
 少し眠っていたようだけれど、恐らく熟睡まではしていない。そんな俺が目を開けて、最初に飛び込んできたのは、見つめてくる江利子の姿だった。
「……江利子さん?」
 まだ頭がぼんやりとしている状態で、とりあえず名を呼ぶ。
「やったぁ、私が最初に呼ばれたわよ」
「そりゃ、正面にいれば、最初に視界に入るでしょうし」
「そうよ、それくらいで威張らないで頂戴」
 見れば、別に江利子だけでなく聖と蓉子の姿もあった。三人ともそれぞれシャワーを浴びてきたのか、血色がよく、寝間着姿になっている。
 聖は普通のTシャツに膝下丈のパンツ。蓉子はオーソドックスな感じのパジャマ。江利子はワンピースのドレスタイプ。
「みなさん、えーと、どうかしましたか?」
 寝間着姿に内心でドギマギしつつ、何でもない風を装って問いかけると、三人三様の表情で俺のことを見て口を開いた。
「どうかしたって、ねえ?」
「もちろん、一緒に寝るために来たに決まっているじゃない」
「…………です」
 耳を疑う。何を言っているのだ、この人たちはと。
「いやー、色々と三人で話したんだけどさ、結局のところ抜け駆けはなしということで」
「そうそう、日曜から日替わりで一人ずつローテーションで祐麒くんと一緒に寝て、土曜日は三人一緒、ということに決まったから。これなら公平でしょう?」
 公平とかそういう問題ではない、俺一人静かに眠ることはずっとできないことになりはしないか、それは。
「い、一緒に寝るなんて……もう、ありえないわ」
「そんなこといってー、シャワーであたしたちより念入りに時間かけて体を洗っていたのは蓉子じゃない」
「下着だって、おニューのお気に入りのやつでビシッと決めてきたくせにねぇ」
「ななななな何を言っているの二人ともっ! わわわ私は」
「そもそも4Pがいいって言いだしたのも蓉子だしぃ」
「ああ、そういえばそうだったわね。まさか優等生の蓉子さまからそんな言葉が出てくるとは思いもしなかったわね」
「やめてぇぇぇっ!」
 真っ赤になって身を捩る蓉子。
 蓉子をからかって満足したのか、聖は一人頷くと俺の方に歩み寄ってきて、ベッドサイドの腰を下ろした。
「じゃ、そろそろ寝よっか?」
「んー、でも、祐麒くんが寝かせてくれないかも」
 江利子もまた、ベッドに上がってきた。
「ベッドも広いし、四人でも問題ないわね」
「そりゃそうよ、最初にちゃんとサイズ確認しておいたし」
 ダブルサイズのベッドは、聖達が引っ越し祝いとしてプレゼントしてくれたものである。一人だからシングルサイズで十分だったのに、わざわざダブルベッドにしたのは、こういう目的があったからなのかと、ようやく理解させられる。確かに、細身の女の子3人くらいなら一緒に眠れる大きさはあるだろう。
 だからといって、それで健やかに眠れるわけがない。こちとら、健全な男子なのだから。
「うぅ……わ、私だって」
 最後までもじもじしていた蓉子であったが、聖、江利子と続けてベッドにあがり俺に身を寄せてくるのを目にして、ようやく心を決めたようだった。口を引き結び、頬を紅潮させつつも真剣な顔で、そろりとベッドに乗ってくる。マットレスが揺れる。
「さてと、それじゃあ……」
 四つん這いになった江利子が、右手を持ち上げて人差し指で顎のあたりを指しながら髪の毛を揺らす。
 聖と蓉子もにじり寄ってくる。
 三人のそれぞれのほのかな甘い匂いに、クラクラと酔いそうになる。
「「「……一緒に、寝ましょう?」」」
 三人ハモり、小さく首を傾げて見つめてくる。
 俺は、それを受けて。

 

「こっ――これで、眠れるわけがないでしょーーーーーっ!?」

 

 期待と嬉しさと恥ずかしさを持ちながら、そんなつまらない台詞を叫ぶことしかできない俺。

 四人での共同生活は、まだ始まってもいないのに、俺はなんだかどっと疲れてしまったのであった。

 

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